小樽市博物館70周年記念講演会 元学芸員が語るあの頃の博物館 博物館の未来に向けて対談

 小樽市総合博物館(手宮1)本館2階企画展示室を会場に、10月18日(日)10:00から、小樽市博物館開館70周年を記念して、1991(平成3)年度から6年間学芸員を務めていた大原昌宏氏(現、北海道大学総合博物館特任教授)を招き、「あの頃の小樽市博物館」と題して、当時の博物館や市内の様子を貴重な写真や資料で紹介した。2部では、大原氏を囲み、前館長・石川直章氏、現館長・佐々木亨氏がこれまでの博物館を語り、これからの未来へ向けて博物館の在り方などを懇談し、市民ら70名が参加した。

 大原氏は、北海道大学を卒業後、1991(平成3)年~1997(平成9)年まで、小樽市博物館の自然史担当学芸員として勤務、専門は、エンマムシ科昆虫の分類学で、勤務しながら1994(平成6)年に博士学位を取得した。その学芸員時代の同僚や展示物、企画展などにも触れた。

 調査活動にも積極的に参加し、小樽の自然について、なえぼ公園で昆虫について調査し、博物館紀要にまとめ発表した。羊蹄山、奥沢水源地、海外研修も体験し、姉妹都市提携を結んだダニーデンに小樽市交換職員として3ヶ月住み、ニュージーランドの博物館の様子を知る事ができ、戻ってからニュージーランドの昆虫展を開催した。

 千島列島のガムシについても調査して知識を深め、数々の標本を手に入れ、未来の研究材料となっている。

  2部では、今年4月から館長となった佐々木氏が加わり、未来の博物館について懇談した。

 北海道大学大学院 文学院で研究を続けている現館長の佐々木氏は、「資料や標本の収集や研究は、博物館の生命線となっていると改めて感じた」という。

 緑町にあった1963(昭和38)年開館した小樽市青少年科学技術館の機能と、手宮の現在地にあった小樽交通記念館と統合し、小樽市総合博物館として2007(平成19)年7月に開館し来年20年となり、統合の経緯も石川館長に尋ねた。

 2000(平成12)年以降、儲からない博物館はいらない、利用者の数が博物館の質を計れるのか、目指すものは集客だったが、石川館長はそうは思わなかったといい、「膨大な資料がやっと花開き、資料の使い方を知った学芸員が博物館に現れ、評価の対象となった。日本遺産制度を取り込もうとするときも、歴史的裏付けの資料を提供し、行政にも関わりを持ってきた」事を述べた。

 さらに、「人口減、自治体規模の縮小、これからの博物館を維持できるか課題となる。調査機能を持ち、困った時の博物館であれば生き残れる」と、話した。

 総合が付く博物館の魅力を大原氏は、「総合は便利で、違う分野が集まり、簡単に垣根を越えられる。地域に総合博物館があり、学芸員を増やすと知的財産が上がる。総合は刺激を受け合い、いろいろなメリットがある。」と、話し、佐々木館長は、「総合博物館が役だっていることを市民が知っている事が大事」と、話した。

 会場には、大原氏が学芸員時代に収集した昆虫標本やレトロなガラス瓶のコレクションを展示して、来場者を楽しませた。

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