2006年9月のベストママ
小樽観光振興公社

川口 智子ママ

 小樽観光振興公社の海上観光船“祝津・オタモイ号”で、絶景のオタモイ航路を柔らかなハンドル捌きで船を操作する道内第一号の女性船長。

 女性船長・川口智子さんは49歳。小樽稲穂で生まれ育った樽っ子だ。色内小、石山中、双葉高へ進み、卒業後は、「ニューギンザ」のデパートガールに。当時のデパートは給料が良くて、女性の人気の職場だったという。

 「あの時は楽しかった。昔は喫茶店だらけで、仕事帰りに職場の子たちとよくお茶したわ。ダンスホールも数え切れないほどあって、お酒も飲んで楽しい青春を送ったの」と青春時代を懐かしむ。

 川口さんは、平成10年に小樽観光公社に入社し、窓口の切符販売をしていた。2年目に市職員や色々な人から、「運転してみないか?もし免許とれたら船長やらせてあげる」と言われ、「落ちたらあきらめようと思いながら、学科は独学で勉強したんだけど、まぐれで1級の免許が取れちゃったのよ」

 2年目からオタモイの2時間コースの運転を始め、1日1回から2回、3回へと運転する回数が増えていき、4年目には本当の船長になって夢を叶えた。

 「最初は猛反対された。男の世界に女は入れないと、ロープの縛り方もすばやく出来なかった。でも出来ないからこそ素直に注意を受け入れられ、ひたすらロープ縛りの練習をして、5年目には全部の航路を運転するようになった」と当時を思い出す。

 1日7時間運転し、お昼は運転しながらおにぎりを食べる。「この観光船はね、波乗りも良くて、運転しやすいのよ。大きな波に突っ込んで行ってもへっちゃらなんだから」と、大波であろうと平気で立ち向うが、後ろのお客さんが心地良く乗れるよう常に気を配る。5月は風が澄んでいて、オタモイ周遊のパノラマが絶景だという。

 「船長は運転するだけではないの。観光シーズン前と終わりには、しっかり掃除や手入れをしてあげなきゃいけないのよ。それが一番大変なんだから」と話す。

 来年は、すでに実技試験に合格している海技士(国家資格)の学科試験に挑戦し、免許取得を目指す。どこまでも海と生きる、さわやかな笑顔がまぶしい小樽の海のママさんだ。

小樽観光振興公社

小樽市港町4-2
0134-29-3131