2010年9月のベストママ
秋ない春夏冬

小柳 聖子ママ

 「お店は屋台じゃなければやらなかった。人と人が触れ合える屋台が大好き」。

 サンモール一番街商店街にあるレンガ横丁で店を構える「秋ない春夏冬」のママ(60)。

 とにかく料理をすることが好き。高校生の時には、洋菓子店や寿司店、中華レストランなど様々な飲食店でアルバイト。学校帰りに、同級生を家に招き、スパゲティやカレーライスなどを作り、ご馳走していた。

 「お店で食べても、自分が美味しく感じるものがなかったので、自分で作ってみたの。ただ美味しいものが食べたかったの。作って食べてを繰り返していたら、人にも食べてもらいたくなったの」

 高卒後、昼は製菓会社の事務職として、夜はキャバレーの厨房で、昼夜働きづめの毎日を繰り返していた。市内のスナックで呑んでいたところ、若い3人組の男性と席が隣り合わせになった。食べ物の話で盛り上がり、今度家に食べに来なさいと誘った。「逆ナンしたの」

 そのうちの一人が現在のご主人で店のマスター・秀勝さん(44)だった。一度、家に招待してから交流を深め、「プータローだった僕の胃袋をつかまれた」(マスター)と同棲するようになった。一緒に住み始めてから、ママが体調を崩し入院。その看病にあたったマスターも、疲労で倒れ入院。同じ病院で共に入院生活を送り、退院後に“年の差婚”。「歩行器に乗ってパンを持ってきてくれる健気な姿にキュンとした。体が弱く、一人で生活していたから」(マスター)。

 友人からテナントスペースが空いているとの連絡があり、旭川で定食屋を経営することになった。学校や観光バスなどに弁当を販売し、忙しい毎日を過ごしていた。たまたま小樽に帰省していた時、ママが足を骨折。「小・中学校と短距離の選手だったから走りたくなったの…」。しばらく働けなくなったことから旭川の店をたたみ、小樽に戻ってきた。

 この後、二人で東京に出稼ぎに行ったり、帯広や福岡、函館、青森などの屋台回りも経験。「お客さんとの距離が近く、コミュニケーションが取れる屋台が大好き。2人とも小樽出身だから小樽で骨を埋めようと思っていた。ちょうどレンガ横丁の話があり、2007年から営業を始めた。お店は屋台じゃなければやらなかった。そのぐらい屋台が好き」

 店には、ママ自慢の手作りおばんざいやその日市場で仕入れた魚の料理を置く。全国の酒屋から直接仕入れる日本酒も自慢だ。毎日50種以上の酒類を揃える。ただ一番の人気メニューは「ママの酔っ払った顔」(マスター)。

 「波長が合わずケンカをするが、人には分からない仲があるの」とラブラブ。大好きなマスターと二人三脚で屋台を営業するチャーミングな人柄のママ。

秋ない春夏冬

小樽市稲穂1-4-15
090-2071-6611
営業時間:17:00~お客さんが帰るまで
定休日:火曜日