2016年1月のベストママ
ジャナグルアートセンター

高橋 朋子ママ

 小樽出身の高橋朋子さん(62)は、ジンバブエ共和国の首都ハラレで、伝統楽器やダンスを子ども達に教える「ジャナグルアートセンター」の代表を務めるパワフルな女性だ。ジンバブエに渡り、すでに29年になるという。

 毎年夏に、アートセンターで学ぶ生徒と先生によるグループで来日し、沖縄から北海道まで縦断ツアーをしている。公演先は学校が中心だが、保育園や高齢者施設でも演奏し、伝統音楽やダンス、日本の童謡を披露し、あらゆる世代に夢と感動を与えている。

 また、ジンバブエのアート作品を日本で紹介し、帰国の折には、アフリカンアート展を開催して展示販売もしている。

 高橋さんは、花園商店街の靴店「地球屋」(花園1)の長女として生まれ、北手宮小、北山中、潮陵高校を卒業した生粋の樽っ子。スキーの腕前は国体に出るほどで、おてんばで活発な女の子だった。年に数回、ツアーの準備や打ち合わせのために帰国する際には、現在も母親が切り盛りしている実家に、必ず里帰りしている。

 ジンバブエに住むきっかけとなったのは、1979年に大阪で観たジャマイカのレゲエ音楽の第一人者ボブ・マリーのコンサートで、心臓の鼓動のような音楽に魅せられ、歌詞を読むうちに黒人のアフリカ回帰運動に関心を持つようになった。

 翌1980年、南ローデシアはイギリスから独立してジンバブエとなり、70年代後半に独立のために闘う人々を応援する「ジンバブエ」という曲を歌っていたボブ・マーリーは国賓として招かれ、独立の式典で歌っている。高橋さんの関心は、まっすぐアフリカに向かい、7年間の準備期間を経て、1986年にジンバブエに渡った。

 日系企業や日本大使館に勤務したのち、1992(平成4)年に、地元のミュージシャンと「ジャングルミュージックプロダクション」を設立、レコーディングや音楽ビデオの制作、24時間コンサートを主催。そのコンサートは、10年後にナショナルスタジアムで開催するほどに成長したが、インフレーションのために継続が困難になったという。

 2002(平成14)年には、道内の友人の協力で、大人のバンド「ジャナグル」を伴って来日し、秋田県と道内10箇所で公演、2005(平成17)年愛知万博で演奏後、全国ツアーを行い、翌2006(平成18)年にも全国ツアーをしている。

 2010年(平成22)年からはジャナグルアートセンターで学ぶ小中学生と先生によるグループで全国ツアーを開始し、生き生きとした歌や伝統楽器の演奏、迫力ある踊りを披露し、各地で聴衆を魅了している。

 また同年には、ジャナグルアートセンターの設備が4年がかりで完成し、日本の外務省に申請していた草の根文化無償基金に採択され、音楽スタジオに必要な音響機材や楽器を揃えることができた。

 現在、同センターに隣接する1,500平方メートルの土地を市から借り受け、「ジャナグルビレッジ」を建設中で、草葺屋根の下にテーブル席を作り、焚き火で調理した料理を提供する。昔ながらの方法で作った食事を食べながら、野外ステージでのライブ演奏やダンスを観光客や地元の人に楽しんでもらおうと計画した。来年3月にオープンを予定している。

 ビレッジには何種類もの果物の木を植えており、木々が成長するまでに丸い草葺屋根のロッジを建設して、宿泊客にも対応できるようにするのが目標だ。

 また国内では、NPO法人札幌障がい者活動支援センターライフと、“JENALIFE”というブランドを作り、アフリカの布を使ったオリジナルグッズを制作し販売している。

 「野生動物や大自然はもちろんのこと、ジンバブエ遺跡のような大芸術を作った人達の子孫ゆえか、アートのレベルが高く、特に石の彫刻が盛んで、作品は欧米でも高い評価を受け、個展の度に完売する作家達がいる」と、ジンバブエの魅力を熱く語る。

 半年ほど前から予告なく頻繁に起こる停電で、井戸水を汲み上げるポンプが止まって断水になり、電話の充電もままならないことが、今一番の困りごとだそうだ。

 2016(平成28)年の全国ツアーは、6月1日から7月10日頃まで。福岡・沖縄・兵庫・大阪・愛知・岐阜を経て、小樽では6月下旬から公演を予定している。

 高橋さんは、ジャナグルの公演を、『自分が生きていることを思い出すコンサート』とPRした。

ジャナグルアートセンター

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