2017年10月のベストママ
多居夢

山森 廣子ママ

 おたる屋台村レンガ横丁(稲穂1)の一番奥の洋風居酒屋・多居夢(たいむ)の店主・山森廣子さん(66)は、元気で明るくお母さんのように慕われている。紋別郡西興部村上興部の出身で、15歳の時から小樽に在住。

 料理上手な母親を見て育ち、実家が農家だったため、忙しい母の代わりに、7人兄妹の末っ子だが、小さい頃から食事の支度を率先して手伝っていた。美味しい物を作るとみんなが喜んでくれて、その喜ぶ顔を見るのが嬉しかった。いつか食堂か居酒屋を開きたいと夢見ていた。

 2004(平成16)年7月の屋台村レンガ横丁オープン当初は、2軒をパートの掛け持ちで働いていた。翌年6月全13店舗ある同横丁のうち、7店全焼・2店半焼という火災が発生。一番奥の現在の店は、消火で水浸しになったものの、焼けずにかろうじて残った。

 周りの人の勧めもあり、「仲間の力強い応援があって、大好きなことができる!」と心機一転、店を持つことを決意。火災の翌月、7月中旬に横丁がリニューアルオープンするにあたり、同店をオープン、今年で13年目を迎えた。

 店名の「多居夢(たいむ)」は、デザイナーのお客さんが命名。『流れる時間の中にたくさんの夢があるところ』と、山森さんの思いがぴったりと重なった店名で、これまで店を続けて来れたのは、この名のお陰と感謝している。

 店の“ウリ”を何にしようか考えていたところ、「ラクレットにしなさい!」と、これまたお客さんからのアドバイス。新得町のチーズとスイス製の溶かす専用ヒーターを紹介してもらい、開店当初から今も使っている宝物だ。

 ラクレットはお奨めメニューとなり、山森さんの名前の如く、山盛りのチーズをバケットにかけて出してくれるから、チーズ好きには堪らない一品。他にも牛トロ丼などがお奨め。

 できる限りのリクエストに答える隠れメニューや、お袋の味“家庭料理”も提供して、お客さんを満足させる。

 店に来て仕事をするのが好きで、行きたくないと思った日は一度もない。もうすぐ七回忌を迎える夫が亡くなった時も、初七日を過ぎて店に復帰。心配して待っていてくれたお客さんで満席になったという

 「元気で笑っているのが一番!」と、いつも前向きでいられるのも、母親の数々の言葉が影響している。とくに、「兄妹仲良いことが宝」という言葉のお陰で、現在でも兄妹みな仲良し。

 常連さんから「多居夢難民になるから!」と言われ、この場所でできるだけ頑張って続けたい。「美味しかった」と笑顔を見ることが生きる支えと感謝し、「女性のお一人様も多く、気軽に寄ってください。新しいお客さんにみんな“welcome!”です」とPRした。

多居夢

小樽市稲穂1-4-15 おたる屋台村レンガ横丁
電話:090-1522-9425
営業時間:17:00~23:00
定休日:水曜日