2003年2月のベストマスター
小樽東家

藤原 泰爾マスター

 満90歳になった今でも、一人で厨房に立ち、蕎麦と向き合うこの道70年の超ベテランのマスター。
小樽人にその味を支持され、愛される蕎麦店主は、岩手県出身。釧路で蕎麦修業を20年。小樽で店を開いて50年。蕎麦一筋に70年が経過し、小樽の街の盛衰を共にしている現役最古参として知られる。
話し好きの人の良い優しい笑顔が、客に安心感を与える。6年前の84歳の時に、大動脈瘤破裂で半年以上店を閉めた時には、「あの大将の蕎麦は二度と食べられないのでは?」と皆に惜しまれた。ところが熱心な客の声援で、退院後に無理を承知で釜前に立つと、70年の職人魂に火がついた。暖簾を上げてからしばらくすると、次から次へと客が押し寄せ、気がつくと満員の客と感極まって男泣きしたという逸話もある。「1時間でも多く釜前に立ちたい。死ぬ時はこの釜の前で死にたい」
「そばなべ」というメニューの名付け親。大将語録「小さい時ウチの蕎麦を食った人は、遠く(東京)へ行っても、必ず小樽に戻ってくる」
職人の中の職人は書を嗜む風流人でもある。
「美の表現 太陽に キッス」藤原 泰爾

小樽東家

花園1-4-24
0134-32-3930