2004年9月のベストマスター
食工房 ZEN ※閉店

久末 克英マスター

 昼間は電柱に登り、CATV網の保守点検作業に、父子2人で取組む電信技師。手にしたペンチを、夜になると包丁に換え、レストランのシェフとして、腕を振るう料理人に変身する。昼と夜とで大きく変わる2つの顔を持つマスター。

 桜町生まれの樽っ子。桜町小・中を経て、小樽商業へ。札幌の調理師専門学校や小樽商大短期大学にも学ぶ。

 19歳で北海ホテルにアルバイトに入ったのが、料理への道の始め。北海ホテルに通算6年間。ダニーデンや札幌グランドホテル、小樽グランドホテルなどで料理人としての腕を磨く。すでに料理歴は20年にも及ぶ。

 実家の父がやっている通信電設の仕事も手伝わなければと、電波関係の各種の資格も取得し、朝から電波障害対策作業に追われる。ストレス解消にと「暮六つ」で知られた居酒屋跡に「食工房ZEN」を営んで3年になる。

 小樽近郊の市場から直接仕入の新鮮な食材を縦横に料理する。調理にかかると手と身体の動きが素早く、口の動きは連射砲のようになる。

 料理は1人2,000円で、堂々とした5品が並ぶ。料理人仲間が唸るワインの品揃えも自慢だが、グラス1杯500円で提供される。料理とワインとマスターとの会話を愉しむ女性客が8割という、たった1人で切盛りする料理店主。

 「自分のわがままを売りにしているので、ゲストのわがままなリクエストも全て応じることにしている」「ワインの持込み料は取らないけれど、勉強のため1杯だけ飲ませて!」と、客のワインの持込みキープも認めている。

 食材や調理を語り始めたら、口はさらに滑らかになり、当分は止まらない。1963年(昭和38年)生れ。41歳。

食工房 ZEN ※閉店

小樽市花園3-3-12

0134-24-4647