2005年1月のベストマスター
飴細工 あめ五郎 ※閉店

村上 五郎マスター

 2005年新春のベストマスターは、昨年めでたく88歳の米寿を迎えた、飴細工師の村上五郎さん。

 「あめ五郎」として知られる小樽職人の会の飴細工職人として、ウイングベイ小樽SE-B棟の片隅で、黙々と立ちっぱなしの仕事を、朝8:00から夕6:00まで10時間もこなす。

 「耳も遠いことはない。目も大丈夫。でも、多少ボケが来ているかな?」と目を細めて笑う。その話し方、昔の記憶の確かさには驚かされる。

 富良野出身で、14歳から和菓子店に。飴玉・せんべい・饅頭などを習う。いつか独立したら飴屋をやろうと思っていたという。小樽に来たのは19歳の時。新聞の募集で花園の製菓店に。デパートの催事に全国を回ったという。

 小樽に住んで70年近くになる。「小樽は昔とずいぶん変わったよ。第2大通りには岩山があったな。当時は小樽駅の駅舎を作っていた。駅は坂だったので、掘り下げて地下からホームに上がるようにしていた。その頃は除雪などしなかったので、バス通りもガタガタで、車内の客はイスから飛び跳ねさせられた。女性の着物姿の裾がまくれたもんだよ。」

 現在は、朝里でお孫さんたちに囲まれて過ごしている。朝里から毎朝バスで通っている。この年まで病気をしたことがなかったが、去年3月に心臓に水がたまり1ヵ月入院したという。43kgの体重が32kgになってしまったと嘆くが、今は体調も戻って元気一杯だ。

 飴細工の店を始めたのは60歳になってから。「飴細工は、ほんとうに難しい。5色を配合し色々な色を出す。作る作品を頭にイメージして作るのだが、なかなか納得する作品が作れない。壊しては作るの繰り返しだよ。それでも出来た作品をお客さんが誉めてくれる時が一番うれしい」と、身振り手振りで話す。

 「100歳を超えてもやれるかは、立っていられるかどうかだ。最近は足が大分弱っている」と言いながらスタスタと元気良く歩く。

 今年の干支の酉を本サイトのために作ってくれた。正月には、尾長鳥作りに挑戦する。まだまだ矍鑠たる88歳のマスターというより、88歳のマイスターだ。

飴細工 あめ五郎 ※閉店

小樽市築港11
ウイングベイ小樽SE-B棟内