2005年11月のベストマスター
株式会社ヤマシタ商事

山下 秀治マスター

 「小学校の工作の時間になると、友達の髪を切って遊んでいた。友達の頭が段々畑の様に仕上がるのが無性に楽しかった」と、今年で30周年を迎えたカット&パーマの株式会社ヤマシタ商事の代表取締役。

 中学3年の時に、学校の古い掲示板に貼ってあった理容美容学校生徒募集案内のチラシを見て、「高校に行かなくても理容師になれる」と進路を決め、小樽理容美容高等学校へ入学。昼間は学校で知識・技術の吸収に没頭。放課後は美容室で実技修行という毎日だったという。学校を好成績で卒業後、夢の理容免許を手に上京、さらなる高みを目指して短期大学に入学。その後、理容技学士の称号を手にし、本場パリへ修行に出かけたが、「ホームシックになって9ヶ月で帰って来ちゃった」と笑いながら話す。

 そして、22歳という若さで、小学校からの夢の自分のサロンをオープン。「店は4坪、椅子2台、1日の売り上げを入れるレジはポケットの中」といった状態だったと当時を語る。オープン初日、開店準備のために店へ行くと、男性が1人開店を待っていて「やった」と思わず叫んでしまったという。

 オープンから3ヶ月が経ち、客の入りがパラパラで経営危機へ。「このままでは店が潰れてしまう」と、夜は銭湯、朝には同じ時間に同じ場所を歩き回り、誰彼構わず挨拶をして、自分の顔を売って歩いた。宣伝効果はかなりのもので、連日満員で昼食の時間もないくらいになった。

 その後、結婚して長男の誕生、マイホームを手に入れ、数々の支店を展開させていった。そして、次男の誕生を記念して、会社を個人から有限会社ヤマシタ商事へ。「長男が理美容学校へ入学し、跡取りが出来た」と、有限から株式へ組織を大きく変更した。テレビにも取り上げられ、雑誌、単行本、ラジオ、新聞等に数々のインタビューを受けた。「毎回同じ説明をしなければいけないことに嫌気が差し、テープに撮ったものを手渡した」こともあったという。

 「若い時は本当にヤンチャだった。東京の入学式でケンカしたこともあったなぁ」とニッコリ笑う。

 創業30周年を迎えたヤマシタ。「食えない時もあった。でも30年やって、やっと人並みだ。これからだ」と全道展開を目指し、「小樽いか電まつり」などのイベントや様々な活動をし、手宮を盛り上げるハサミマスター。

株式会社ヤマシタ商事

小樽市錦町7-8
0134-34-1078