2005年9月のベストマスター
株式会社 小樽駅構内立売商会

村上 勝マスター

 小樽に旨い駅弁ありと、全国的に知られる「おたるかにめし」「北海手綱」「海の輝き」等を送り出している、(株)小樽駅構内立売商会の社長さん。

 当時の国鉄の鉄道弘済会のサラリーマンだったが、苦境にあった駅弁屋「小樽駅構内立売商会」に出向した。全く経験の無い弁当作りの仕事の上、傾いていた会社だったから大変だったという。しかし、当時の社長が全権を任せてくれたので、意気に感じて仕事に取組み、2年後には経営のメドをつけ、本社のサラリーマンに戻る。

 しかし、後がまの国鉄の退職者では経営がうまくいかず、結局自分が脱サラして経営を引受けた。

 当時は、2月・8月のニッパチ月の売上は、180万位しかなかった。鉄道事業の急変もあり、その頃から、市内のスーパーへも卸すように営業方針を替えた。

 東京晴海で調理器の展示会を観た帰り、新宿京王百貨店の駅弁大会の話を聞き、長男(専務)と2人で飛び込みでチャレンジした。国鉄からJRへの変換後の記念弁当で、「北海手綱」を制作。これまで作ってきた「かにめし」を基礎に、酢飯の上にカニとサケのそぼろを載せ、トビッコ・イクラ・錦糸卵でロープの綱を表現した色合いの上に、酢漬けのアスパラガスが1本載っている。

 この「北海手綱」を、京王百貨店の駅弁大会に出品。初出場で5位を獲得。以降、駅弁大会で何度もベスト5以内にランクされ、全国を回る物産展などでも大人気に。

 「一番は食べておいしいこと。作っている自分が惚れていないと駄目。手間暇を惜しまず、味にこだわっている。北海手綱は、他所で3個作るところを1個しか作れない」と、味と制作に時間を割く。

 全国の物産展に飛び歩いているが、お客さんの喜ぶ顔を見られるのが楽しみという。生れも育ちも小樽の生粋の樽っ子で、まもなく70歳になる。優しい語り口と温厚な顔立ちに、どこまでも挑戦して、自分が納得するまで手を弛めない気性が覗く。小樽の「駅弁」のマスターだ。

株式会社 小樽駅構内立売商会

小樽市稲穗2-22-1
0134-23-5281