2007年1月のベストマスター
くつろぎ酒房 香蔵(KAGURA)

宮尾 俊夫マスター

 急斜面の天狗山でのスキー授業帰りに、スキーで松ケ枝の自宅まで帰ってきたという樽っ子。4、5年生の頃から、天狗の壁を滑り降りたという経験を持つ。

 「料理の一品一品も、絵画や彫刻と同じ芸術作品だと思うのだが、なぜ著作権がないのか」と嘆く、和食の美を追及する料理人。

 高卒後、札幌の専門学校に通いながら、札幌全日空ホテルにあった和食店で修業。その後東京本店へ移り、最初はすぐに小樽へ帰る予定だったが、18年間もの東京生活となった。赤坂の料理屋で修業を重ねる。時はバブルの時期で、沢山の魚を捌いて勉強になったという。

 23才で結婚。結婚した時は金がなく、朝はホテルの朝食を作り、夜は料亭に勤める二足のわらじで給料を稼いだ。バブルの崩壊で、政治家もゼネコンも、急に客が来なくなり、27才の時に埼玉の所沢市で料理店の経営へ。プロ野球西武のお膝元とあって、松阪投手の自筆サインを持っているのが、今では自慢の種でもある。

 小樽に戻ったのは、頭に難病が見つかり、身内が近くにいるほうが良いと、札幌医大で手術を行うためだった。2年半前に花園小路の嵐山新地に料理店を開店。小樽の天然ヒラメが格段に安く、他にこんな所はないのではないか、「ウニとヒラメは小樽だ」と、魚へのこだわりが凄い。

 3人の子供の父親でもあるマスターは、小樽の現状を考えると、子供を東京から連れて来て果たして良かったのかと思ってしまう。「小樽は今変わらなければ手遅れで、夕張になる前に変わって欲しい。世界の小樽にして下さい」と、危機感をつのらせる。魚にこだわる日本料理店を奥さんの裕子さんと二人三脚で営むマスター(37才)。

くつろぎ酒房 香蔵(KAGURA)

小樽市花園1-8-20
0134-25-0650
定休日:日曜と祝日月曜