2008年9月のベストマスター
焼鳥 ささき

佐々木 和雄マスター

 花園銀座街の旧ゲームセンター横の路地裏にある焼鳥専門店。5坪(16.5平米)の小さな店に、カウンター9席が並ぶ。臈纈(ろうけつ)染めの長暖簾(ながのれん)をくぐると、その日仕込んだ肉汁たっぷりのジューシーな豚・鳥串を片手に、談笑する客の声が広がる。

 脱サラの焼鳥職人。余市出身で釣り好き。20歳の時に知人と行ったヘラブナ釣りにハマリ、たまに店を休んで積丹に行くことも。

 「年金問題が出る前だったが、年金をあてにしないで、定年のない仕事をしようと考えており、自営業しかないと思い立った。昔から焼鳥が好きだったから、やるなら焼鳥屋か居酒屋と決めていた」と、20年ほど続けたサラリーマン生活にピリオドを打ち、大好きな釣りが出来る海の街・小樽で、仕事をしようと店舗を探した。

 焼鳥を食べることはあっても、焼くことはまったくの素人。知人の焼鳥屋で、焼き方・刺し方・塩加減・タレ作りなどの基本的なノウハウを学び、あとは自己流。「札幌の料理屋でアルバイトしたことがあり、その時に調理師免許を取った。その頃から料理することは好きだった。研究に研究を重ねて、やっとここまで来た。最初は、未経験者が店をやっているのだから、焦げてしまったり、生で出してしまったりと失敗もした。それでも、来てくれるお客さんがいて感謝している。今では、美味しいと満足してもらっている」

 客に炭火が飛ばないように備長炭で作った練り炭を使い、その日仕込んだ分だけを販売するように心掛けている。「豚と鳥は、冷凍すると焼いた時に水分と一緒に旨味が出てしまうので、必ず営業当日に仕込む。ジューシーで柔らかい焼鳥をお客さんに食べてもらいたい」と、ひとつひとつ丁寧に串に刺していく。そして、友人の陶芸家が作った味わい深い皿で焼鳥を出す。そんなこだわりが、常連客に親しまれている。

 今年10月で開店3年を迎える焼鳥ささき。「身体が利かなくなるまで続ける。だって、いまさらサラリーマンに戻るたって、使ってもらえないでしょ!」と特徴ある笑い声を響かせる。サラリーマン時代に出来なかったという長髪と鬚が似合うマスター。

焼鳥 ささき

小樽市花園1-1-8
営業時間:17:00~24:00
定休日:水曜日
0134-32-7620