原田 孝マスター
小樽で一番古いお好み焼き屋と言われる“源平”のおやっさん。
ダンボール会社からのリストラを機に立ち上げた店は、インターネットの口コミで、“大阪よりもうまいお好み焼き屋”と紹介されるほど。
今年で72歳、生粋の樽っ子。サラリーマン時代、大阪に転勤になり、「大阪には、小樽にラーメン屋がたくさんあるような感じで、お好み焼き屋が並んでいる」と、お好み焼きを食べ歩き、定年退職してから店を開こうと考えた。
しかし、定年退職より17年も前の43歳の時に解雇された。すぐに、お好み焼き屋をオープンしようと、小樽協会病院横の石蔵を借り、350万円かけて内装工事をした。「背水の陣だった」とポツリ。
「確かにお好み焼き屋は食べ歩いたが、何も分からねえで350万使って、サラリーマンから急にお好み焼き屋を開くなんて、今の若いやつには出来ねえだろうな。」
当時、市内のお好み焼き屋は8軒あったが、今では半分程度になったという。オープンした頃にあった古い店も今はなく、「多分うちが一番古いのではないか」と話す。
“大阪よりうまいお好み焼き”の秘訣は、「キャベツとか海産物は道産の物を使っているからうまいんだ。大阪に比べたら食材が良いだけ」と多くを語らない。
ただ、どんなに忙しくても、客の目の前で焼き、客に焼かせることはしない。「大阪の人ならともかく、こっちの人はあまり焼き方を知らねえべ。お客さんに焼かせると、話ついでに、ヘラで押してしまうべ。うちのは、粉と卵の微妙な加減で、外はカリカリ、内はフワフワにするのに、押し潰しちゃったらべちゃべちゃに仕上がってしまう。だから自分でやるんだ」
小樽の活性化を願うおやっさんは、焼きながら色々なアイディアを語る。「小樽近郊でしか獲れない魚をPRするとか、イクラとかウニとかを本州にばかりに送らないで、北海道に来て食べさせるとか、忍路湾をもっとアピールするとか、やることは沢山ある。小樽だけでなく、後志と連携するべきだ。せっかく一本の道路で繋がっているのだから、小樽で1泊したらレンタカーを借りて、後志をぐるっと回ってまた小樽に戻って来てもらうようなオール後志のプランとかは出来ないのだろうか。それにしても小樽は不景気過ぎる。この前、副市長が食べに来たから、『活性化してねーぞ』って言ってやったんだ」
72歳の高齢ながら、まだまだ現役バリバリ。小樽の将来を想う“鉄板焼・おこみ焼き 源平”のおやっさん。