2009年6月のベストマスター
居酒屋 とりあえず

高田 剛志マスター

 花園の繁華街と寿司屋通りをつなぐガード下通路の脇にある居酒屋「とりあえず」のマスター(44)。カウンター7席・小上がり1席(4人)のこじんまりとした店で、ママさんと夫婦水入らずで営業。

 生まれてからほとんど小樽から出たことがない生粋の樽っ子。高校卒業後、就職した工業系の会社が3年後に倒産し
、水産卸の食品系の会社に転職。これが食に関心を持つきっかけとなった。いつしか自分の店を持ちたくなり、約15年勤めた会社を辞めて、市内の居酒屋で修業を始めた。

 料理が好きだから大変ではなかったと、6年間で4つの居酒屋で腕を磨き、2007年12月にオープン。2店続きの建物の壁を壊し1店舗に改装した。「マイホームが出来たのと同じくらい嬉しかったなぁ」と笑みをこぼす。

 サラリーマン時代のツテで、新鮮な海産物を仕入れすることができ、年齢問わず女性1人でも気軽に寄れる店となっている。

 「メニューを安く提供することを考えている。“とりあえず寄ってくか”と言って、気軽に足を運んでもらえたらいいな。裏メニューもあるので、店に来たら今日何が
入ってるか聞いてもらいたい。自分はマグロ好きなので、特にマグロは新鮮で美味しいものを置いている」

 当初は、母親も一緒に営業するつもりだったが、足を悪くしたため夫婦で切り盛りしている。たまに母親から、お通し用にと煮付けやきんぴらなどの差し入れがあり、「お客さんに美味しいと言われるお通しは、お母さんのだったりして」とママさん。

 店をオープンして1年半、「自分で店をやるといつでも休めるかと思ったら、全然暇がない」と、オープン前の昼に温泉に浸かり、身体を休めている。一緒に前の晩の酒も抜く。

 「小樽が好きで小樽を出ないでずっと生きているが、最近の小樽は死んでいる。昔の花園町は、週末なんてどこに行っても満杯だった。なんとかならないかな。でも、好きで店を始めたのだから、身体が続く限り営業していきたい」と話す。

 “とりあえず一杯だけでも”と、赤い提灯を入口に飾り、花園の夜に小さな光を灯している。

居酒屋 とりあえず

小樽市花園1-4-17
営業時間:17:00~25:00
定休日:月曜日
0134-25-3533