2010年2月のベストマスター
手打ち蕎麦 きむら

木村 千里マスター

 碾き立て・打ち立て・茹で立ての蕎麦を作る「手打ち蕎麦 きむら」の店主(52)。「市内には美味しいお蕎麦屋さんがいっぱいあるが、色々食べ歩いても、今日はここの蕎麦食べたいねと言われるようになりたい」と話す。

 幸会館前のバス停から、ほんの数メートルオタモイ側に歩いて左に曲がると、目の前の住宅街の一角に緑の旗が目に入る。外観は普通の住宅だが、居間と寝室を改装した店内へ入ると、蕎麦の香りがほんのり漂う。玄関で靴を脱いで、暖簾をくぐると、“いらっしゃい”と、夫婦の温かい声が聞こえてくる。親戚か友人の家に遊びに来たような、アットホームな雰囲気が広がる。

 調理学校卒業後、30年以上調理人を続けた。「市内の病院で調理師として働いてきたが、3年前から栄養部が外部委託される話が上がり、業者に勤めるか悩んだ時、女房から“勤めたってどうせブツブツ文句言うんだから”と言われ、自分で店をやることを考えた。蕎麦が好きだから、手打ち蕎麦を習い始めた」

 一昨年に退職してから、市内の店舗を探し歩いた。街中では、家賃が十数万、駐車場が車1台1万円程の経費がかかり、お客さんが来てくれても、忙しければ人を使うことになり、余計にお金がかかると思った。ちょうどこの場所に家があったので、退職金を使って、1階を改装して昨年4月にオープンした。

 農家から直接蕎麦の実“キタワセ”を仕入れ、毎朝、電動石臼と手碾きで自家製粉する。蕎麦の8割が電動石臼で、2割が手碾き。蕎麦を口に入れると、蕎麦の実の歯ごたえを感じ、口の中に風味が広がる。

 「知り合いの蕎麦店主から、色々な打ち方があるから楽しめと言われたので、それを受けて、試行錯誤した。碾き立て・打ち立て・茹で立ての蕎麦の基本の三立てが一番美味しいので、毎朝、手碾きした蕎麦を打ってお客さんに出している」

 調理学校で知り合った姉さん女房の冨美子さん(54)と2人で、静かな住宅街で店を切り盛りする。「お客さんには、もうちょっと近ければと言われるが、家がここにあったのだから仕方ない」と話す。「少し高くても美味しければ食べに来てもらえると思っている。高いと言っても、メニューは1,000円以下です」

手打ち蕎麦 きむら

小樽市幸3-16-8
0134-29-0262
営業時間:11:30~15:00(蕎麦が売切れ次第閉店)
定休日:月曜日・第3火曜日(祝日の場合は翌日)