2010年3月のベストマスター
お箸ダイニング こうじ

氏家 晃嗣マスター

 「こんなに安くて大丈夫かとお客さんに言われるけど、地元の人が気軽に来れる寿司屋にしたいのさ」。都通り商店街から一本港側にあるバス通り・稲穂大通り商店街に店を構える、室蘭出身のマスター(42)。

 公務員だった父親の転勤が多く、帯広や旭川など道内各地を転々とした。「中学を卒業したらすぐに働くつもりだった。料理が好きだったので、男らしいイメージの寿司職人になりたかった」と、中学卒業後、市内の寿司店で修業を始めた。

 当時は、地元客で溢れ、週末は行列が出来るほどだった。夜が一番忙しく、仕事が終わるのは夜中の2時、3時が当たり前。金曜日と土曜日は、花園で飲んだ客やスナックのママが店を訪れ、朝まで働いた。自分の店を持つという夢のため、毎日寿司を握った。

 「昔はお客さんが並ぶのは当たり前だった。寿司の値段も安かったし、とにかく地元の人たちが外に出て、お金を使っていた。夜中に店が終わっても、それから車で札幌に遊びに行ったこともあったな」と思い返す。

 「あまり店がないこの場所にビビっときた」と、オフィスビルや病院が多い稲穂大通り商店街に、38歳で店をオープン。客同士が架け橋になってくれればとの思いを込めて、「お箸ダイニング こうじ」と名づけた。

 一番高いおまかせ寿司が2,980円、ランチの寿司セットは880円。「観光客が小樽にたくさん来るようになってから、寿司の値段が高くなった。宣伝してまで観光客を呼ぼうとは思わない。地元のお客さんに味わってもらえれば嬉しい。風呂上りに来るお客さんもいるが、うちはそんな感じで気軽に来れる店。かしこまる必要なんてない」

 店を手伝う妻・由佳里さん(35)は、一時期住んだことのある帯広出身。これがきっかけとなり意気投合して結婚した。店内には、二人のやさしい人柄が広がる。値段を気にせず、肩を張ることもなく、和気藹々と新鮮な寿司を楽しむことが出来る。工夫を凝らした一品料理も自慢だ。

お箸ダイニング こうじ

小樽市稲穂2-13-17
0134-22-7070
営業時間:11:30~14:00、17:00~22:00(オーダーストップ)
定休日:日曜日(連休やイベント時は営業)