2011年7月のベストマスター
焼き鳥・居酒屋 竹八

佐藤 武彦マスター

 小樽駅前を真っ直ぐ下り、最初の路地を左折したところにある焼鳥・居酒屋「竹八」のマスター佐藤武彦さん(68)。

 「小樽は、海あり山ありで本当に良いところだ」。人口が20万近くあった頃に小樽に来て、店を開いて33年。妻の松江さんと2人の夫唱婦随で、客の応対に精を出す。

 弘前生れ、1歳から中学まで礼文島の香深育ち。稚内に渡ったのち、札幌に出る。札幌・小樽で寿司職人の見習い修業。その後、東京・長崎・高知などで、料理人としての修業を重ねる。東京の柳橋の割烹店や長崎・円山の料亭「花月」で腕を磨いたのが自慢でもあり、自信ともなっていると言う。

 高知にいた20代の頃、妻の松江さんと知り合った。「ヒグマが見たいというから、北海道に連れてきた」と笑う。小樽に来た松江さんは、阪神タイガースのキャンプ地でもある高知の安芸出身。

 「最初の冬は、雪のない高知から来たので大変だった。えらいところに来てしまったと思ったわよ。買い物に行っても凍った雪道に足を取られ、玉子と豆腐がミキサー状態になってしまって、また買い直しに行ったこともしばしばだったのよ。今でもまだ慣れないのよ」と、小樽の雪を嘆く。

 「小樽がすごく好きで店を開いたが、嫌いなこともある。小樽人は、全国にはいっぱい美味いものがあるのに、なかなか認めないところがある。何が何でもホッケの開きというもんでないよ。その土地土地には、それぞれ美味しいものがあることを知って欲しい」と話す。「小樽の景気が悪くなり、店も最盛期の時より、売り上げが10分の3に落ちてしまった。何とかしてほしいよ」

 33年間の年月を経た店は、居酒屋の雰囲気が染みついており、常連客の笑いが絶えない。「子供はいないし、他にママの変わりもいないから、40年間、ケンカしたこともないし、しようとも思わない」と、夫婦仲の良さが伝わってくる駅前居酒屋のマスター。

焼き鳥・居酒屋 竹八

小樽市稲穂3-8-14
TEL:0134-23-3379