2012年10月のベストマスター
シロクマ食堂

本間 学マスター

 北運河沿いの小樽漁業組合の向いに、シロクマの暖簾とシロクマの看板が目立つ。今年1月に移転してきたメニュー豊富な「シロクマ食堂」を営む本間学さん(47)。

 小樽市梅ケ枝町生まれの手宮っ子。18歳で就職し埼玉へ。その後、三重、栃木、岩手、宮城と移り住んだ。

 サラリーマンを辞め、気仙沼で、海岸から歩いて5分の場所に蕎麦屋を10年間営む。本間さんは、3人兄弟の末っ子だが、両親のどちらかが無くなったら、故郷小樽へ帰ろうと決めていた。震災が起こる2年前に高齢の母のため小樽へ戻った。東日本大震災で店があった場所は、跡形もなく津波に流されてしまった。

 小樽に帰って来て、蕎麦屋をリサーチしたが、朝里川温泉スキー場近くの貸別荘ウィンケルに隣接した場所で、「シロクマ食堂」を2010年9月に開店し、今年1月に現在の場所へ移転した。

 シロクマ食堂とは、以前観た映画の「かもめ食堂」のように、いろいろな人が集まり、何かを求めて来店してくれるよう、要望に答えて何でも提供できるような店にしたいと名付けた。

 「何がおススメ?」とよく聞かれるが、それぞれのメニューに思いを込めて作っているので、これだとは言えない。マグロとアボガドの海苔巻、気仙沼でもヒットメニューで予約が必要。秋になるといも煮を提供。北海道のジンギスカンのような存在で、東北では定番の食べ物で、みんなが集まると必ずと言っていいほど提供される。醤油味でさと芋が入った豚汁風ではあるが牛肉を使用。これも自慢の一品。

 本間さんは、料理の調味料ひとつにしても、醤油醸造所まで行く程、とことん追求、知識が豊富。美味しい物を提供したいという思いから、手間隙惜しみなくかけている。料理や飲み水に使用している水は、真狩の湧き水を使用。この水を使用し美味しい炊き方でご飯を提供する。これも本間さんにしてみれば、ごく当たり前の範疇(はんちゅう)だ。

 料理もアートで、絵具は食材。同じ材料と器具を使っても同じものはできず、絵と同じだと言う。日々切磋琢磨し、商売仲間はいるけど、商売敵(がたき)はいない。レシピを公開し、真似できるなら真似してもらっていいとさらりと答える。市場で食材を仕入れ、その時にシーズンメニューを考え、旬の食材の食べ方を教えてくれる。

 食べたいものがあったら「シロクマ食堂」へ行って食べると、胃袋と心まで充たされ、男女問わずファンが多い。

シロクマ食堂

小樽市色内3-6-3
営業時間:11:00~22:00
定休日:不定休
電話:0134-31-4690