2012年3月のベストマスター
船見坂 ひろ田

廣田 英夫マスター

 小樽レンガ横丁(稲穂1)の入り口ひとつ奥にある小さな日本料理店「船見坂 ひろ田」を営む、廣田英夫(62)マスター。

 岐阜県岐阜市に生まれ、高校までを過ごした。北海道大学医学部を卒業し、東京都衛生局に勤務し、同期入局の医師だった妻と結婚し、1児をもうける。

 昭和63年に単身で北海道知床ウトロ診療所に2ヶ月勤務し、大成(なたな)町立病院外科にも勤務した。平成3年4月から小樽市保健所に勤務。自分の仕事はやり尽くしたし、管理的な仕事を期待されても向いていないと、12年目にして保健所を退職。

 21世紀に、自分のすべきことはなんだろうと考え始めた。息子が東京の調理師学校へ行くことになり、廣田さんも1日体験入学をしてみた。以前から料理に興味があり、作ることが好きだったので、一から勉強してみようと、東京の辻調理師専門学校で日本料理を1年間学び、さらに翌年、大阪あべのの調理技術研究所で学んだ。

 平成17年4月に小樽へ戻り、店名でもある船見坂近くに店舗用の土地建物を確保していたが、まずは腕試しと、知人の紹介でレンガ横丁の現在の店を6月に開業。しかし、その月末に火災に遭い、4週間後に再スタートするという大変な思いもしたが、今年7年目を迎える。

 「なぜ店名に“船見坂”が付いているのか?と、お客さんによく聞かれるが、いずれは同じ料理人である息子と、船見坂に準備した場所で仕事が出来ればという夢があり、その時に店名を変えるより、今、店名に付けていたほうが良い」と話してくれた。

 廣田さんは、「ランチを始めるようになり、自分がやろう思うことに近づいた。中高年の人たちに、良質な食事を提供すること、健康のために普段より心がけることが重要だと考えられるような食事を提供したい。そういう仕事が出来ればと思う。小樽の良さが分ってもらえるような、ホッと出来る店にしたい。北海道産の食材を旬の季節のみ提供するようにしている」と話す。

 ランチメニューを季節ごとに替え、今の季節は、鯖の味噌煮・カキフライ・わかさぎの天ぷら・・白菜サラダ・小松菜とじゃこのお浸しなど、総菜8品の中から3品を選び、ご飯、味噌汁、漬物が付いて850円とリーズナブル。

 夜は、一品料理や刺身、アナゴの柳川鍋、鶏ごぼう土鍋ごはんの他、予約をすると船見坂御膳2,000円や季節の懐石料理3,500円に、修業の腕を揮ってくれる。店内は、カウンターのみ6席で、どこに座ってもマスターがテキパキ調理をする姿が見える。こじんまりとした店内で、小樽の旬の食材をもっと美味しくしようと、日々研鑽に励む「船見坂
ひろ田」のマスター。

船見坂 ひろ田

小樽市稲穂1-4-15 レンガ横丁
TEL:090-8428-0741(携帯)
営業時間:
昼 火曜日~土曜日11:30~14:00
夜 月曜日~土曜日17:30から22:00(L.O21:30)
定休日:日曜日・祝日