2013年11月のベストマスター
てんぷら 梵(そよぎ)

作佐部 直哉マスター

 小樽では数少ない天ぷら専門店「梵(そよぎ)」の店主・作佐部直哉さんは、小樽出身の37歳。

 子どもの頃は、おとなしく手の掛からない子で、物心がついた頃には料理に興味を示し、料理をテーマにしたTV番組を好んで良く見ていた。高校卒業後、札幌で和食の世界へ入った。修行を重ね、小樽出抜小路の天ぷら屋で働いていた。

 “いつかは独立を!”と夢見ていた。自分のイメージにほぼ近い今の店と出会い、7月25日オープンへ漕ぎ着けた。

 店名の「梵(そよぎ)」は、仏教に使われる「ぼん」という字で、木が風を受ける様に、“そよそよやすらぎ”を意味していることから名づけた。

 店の特徴は、天ぷらを中心とした和食で、一品料理も提供。衣は油をあまり吸わないよう薄くつけてからっと揚げ、野菜などは素揚げに近く、食材の味を活かして提供。常に揚げたてを食べてもらうために、カウンター越しに、お客さんの食べるペースを見計らい、目の前で食材をひとつひとつ揚げている。

 絶妙なタイミングと絶賛する客も多い。あなご天丼などのランチは土日もあり、お茶漬けの上に天ぷらを乗せた天茶も変り種。おススメの梵御膳1,500円は、天ぷら6品で、エビなどの定番物と季節の旬の物を合わせて提供し、締めはかき揚げの小天丼か小天茶が選べる。

 時には山菜を自分でに採りに行き、キノコなど一品料理の食材に使うことも。ゆり根、さつまいもの安納芋(あんのういも)、生麩などの天ぷらも珍しくて喜ばれる。小樽らしい八角も天ぷらで味わうと絶品。黒葡萄の一種のピオーネ揚げは、香りもさわやかで天ぷらデザートとして好評。

 小樽では、天ぷら屋があまりないので、専門店の開店を喜ぶお客さんも多く、カウンター9席だけのこじんまりした店内を、今はなき小樽の天ぷら屋を懐かしむファンも多いという。

 今後は、「地域に密着し、地元の方に、“『梵』へ行くとうまい天ぷらが食べらる”と定着できるように、こじんまりとした店で、小樽を訪れる観光客にも、末永く愛される店を目指したい」と、天ぷら種もその他のメニューも、季節感や驚きの工夫で、食する人から笑顔を頂けるよう日々研究を重ねる。

 そんな仕事熱心な店主も、プロ野球観戦が好きで、楽天の田中投手の行方が気になる野球ファンの一面もある。「常に揚げたてを提供できるように心がけ、自慢の天ぷらを味わっていただきたい」と、今日も天ぷら油と格闘する。

 母親や妻、姉など家族が店を手伝い、アットホームな雰囲気で、細やかなおもてなしの天ぷら屋「梵(そよぎ)」の店主は、全力投球中!

てんぷら 梵(そよぎ)

小樽市色内1-12-8
電話:0134-24-7220
営業時間:
11:30~14:00
17:00~21:00(LO:20:30)
定休日:水曜日
客席:9席