2014年3月のベストマスター
澤の露本舗

高久 文夫マスター

 明治44年創業の「澤の露本舗」は、あめ玉を製造販売する老舗で、高久文夫代表(62)は3代目となる。

 同店のあめ玉は、透明で山の木々の滴る露のようだと店名をつけた。当時の製法を受け継ぎ、変化したことは道具や設備が良くなっただけと話す。

 和菓子店舗を営んでいた高久さんの祖父・澤崎浅次郎さんが、水晶あめ玉を発明。当時は、稲穂町に店舗を構えていた。戦争の影響で砂糖が入らず、一時休業していたが、昭和26年に再開。その2年目に現在の店舗へ移転。

 高久さんは、サラリーマンを経験後、店を継いで26年目になる。あめ玉の製造から販売までを行う。店頭に立つのは、お客さんの声を聞くためでもあり、現場を知らなければ良い商品が生まれない。他店の販売方法などを偵察することもあるそうだ。高久さんがあめづくりに専念している時は、奥さんが店に出ている。

 あめ玉の特徴は、原料が砂糖と天然の香料のみで、水飴や着色料・保存料を一切使用していないこと。あめ玉一品のみを製造販売。砂糖だけで作るあめ玉は、全国各地を探してもここだけ。高久さんのごだわりは、品質を落とさない、良い材料を使うことで、納得のいく美味しいものが出来上がるという。

 困ったことは、収穫した時期や産地によって、砂糖に変化があり、いつものあめ玉ができなくなることだという。仕入れた砂糖を開け、すくった時点で質感の違いが分かるという。そんな時は返品し、同店のあめ玉に合う砂糖を仕入れ直す。一般家庭で使う砂糖とは違い、この砂糖で羊羹などを作れば、照りや風味が全然違うそうだ。

 うれしいことは、全国各地にお客さんがいることで、「美味しい」と言われありがたく思っている。以前、入院されていた人が、何も食べられなくなり、無着色無添加のこのあめ玉だけを食べることができ、楽しみにしていたというエピソードを話す。

 高久さんは、「砂糖だけで作った自然の甘さを試してもらいたい。味わったことのないあめ玉だと思う」とPRした。

 100年の伝統を受け継ぐ高久さんは、職人気質の賜物。砂糖を焦がした天然の色と水晶玉のような透明感がある自慢のあめ玉を守り続けている。

澤の露本舗

小樽市花園1-4-25
電話・FAX:0134-22-1428
営業時間:11:00~18:00
定休日:第1日曜日
袋入り300円からご贈答用までを用意。地方発送可能

お店のHP