2015年6月のベストマスター
居酒屋万来

大西 薫マスター

 創業47年になる居酒屋「万来(ばんらい)」の店主・大西薫さんは、とても75歳とは思えない、若くてダンディーな店主。帯広出身で28歳の時に小樽に移住。ずっと居酒屋を営んできた。

 当時の梁川通りは、スナックや飲食店が軒を連ねていた。ここの界隈では古く、『継続は力なり』と、今日まで続けてきた時を振り返る。

 店名の「万来」は、“千客万来”から名付け、たくさんのお客さんに来てほしいという思いが込められている。

 唯一の助っ人である妻と2人で、店を切り盛りする。仕入れも2人で、品物をひとつひとつ吟味して仕入れる。営業時間は、18:00から23:30までだが、昼間から仕込みをして、手抜きは絶対にしない。

 鯖の味噌煮は、骨まで食べらるほどじっくり煮込み、味が染み込んで絶品。長い年月の中でメニューも徐々に増え、今では80~100ほどになり、お客さんに注文されてから調理している。

 おすすめは旬の食材を使った料理で、春は、ウドやフキ・タケノコなどの山菜料理を、常連客は心待ちにしていという。

 大西さんは、山菜を料理するだけではなく、山菜採りも大好きで、春は、アイヌネギやウド・タケノコ、秋には落葉キノコを採りに、山々へ出かけるのを楽しみにしている。魚は大ぶりの春シャコや、これからはマスも美味しく、手に入った時には素材を活かした調理が喜ばれる。人気メニューは、「カツとじ」で、ご飯のおかずや酒の肴に注文が多い。

 ほとんどが固定客で、夫婦で来られる常連さんも多く、大西さんの身内のようだったり、友達みたいな会話が続く。お客さんとの会話も楽しみのひとつで、冗談を交えながら、お互いに楽しい時間を過ごし、それが若さの秘訣になっている。

 昨年、山菜採りで転んで骨折し、創業以来初めて3ヶ月間も休んだそうだ。再開を多くのお客さんが待っていてくれた。その時、店を辞めることは、とても度胸がいる。寂しくて辞められないと思った。元気なかぎり営業を続け、お客さんが喜ぶ美味しい料理を作り続ける。

 店内には大西さんが描いた猫の絵が飾ってある。「グループ’96」に加盟し、毎年、美術館で開催する作品展に参加している。昨年12月の作品展では、猫の表情が豊かに描かれた6点を出展し、来場者に喜ばれていた。また、15年以上江差追分に親しみ、唄い続けている、多彩な才能の持ち主だ。

 大西さんは、「旬の食材を使った料理を、ぜひ食べてもらいたい」とPRした。

居酒屋万来

小樽市稲穂3-17-2
電話:0134-27-3810
営業時間:18:00~23:30
定休日:水曜日
小上がりテーブル3つ、カウンター10席