2016年10月のベストマスター
Fruit&Vegetable Kashima

鹿嶋 康裕マスター

 今年7月、鹿嶋康裕さん(49)と妻ユリさん(43)が切り盛りする八百屋「Fruit&Vegetable Kashima」が、寿司屋通りの一角にオープンした。

 有限会社鹿嶋商店は創業84年目となる老舗の八百屋。寿司屋通りができる前から、この通りで営業を続け、小樽生まれで小樽育ちの康裕さんは3代目となる。現在の店舗には、数件上から移転し、趣を替えた八百屋として営業。余市出身で笑顔が素敵なユリさんは、二人三脚で店を手伝い、小樽の人を「温かいし親切、人柄が良い」と話す。

 果物は完熟すると商品価値が落ちてしまうが、せっかく美味しく熟した果物をジュースという形で提供しようと、カウンター付きで八百屋らしからぬ雰囲気の店に挑戦した。

 ちょうど店舗の前に信号機があり、観光客や今まで通り過ぎていた人々が、信号待ちなどで立ち止まり、立ち入りやすい場所となった。様々な人が訪れ、暑い日にはジュースの他にかき氷を提供、今夏はとても人気となった。

 八百屋ならではのメニューが評判で、おとなのかき氷・自家製の梅酒漬けかき氷や、レモンまるごと1個を使ったレモンスカッシュ、完熟プラムジュースなど、注文してから作る搾りたて100%ジュースを各300円で提供、テイクアウトもできる。

 また、完熟したバナナを凍らせて作ったバナナシェイクも評判で、メロンは注文が来てから切り分け、観光客に喜ばれている。

 これまで八百屋に縁のなかった若い人も、店内の椅子に腰掛けてジュースを味わい、小樽の話で盛り上がり、会話を楽しんでいるという。

 康裕さんは、飲食店に野菜や果物を配達する納品専門の八百屋だが、最近は、妻の親戚が住む共和町から直接米を買い付け、一般のお客さんからも注文が増えた。

 移転してから、もうすぐ初めての冬を迎える。今まで入口をオープンにしていたが、冬は閉めなくてはならず、入りずらくなるのではとの心配はあるが、かき氷に代わり、冬は温かいコーンスープや野菜スープを考案中で、八百屋ならではのメニューを提供していきたいと意気込む。

 「観光中、父が高熱を出し喉が痛くて何も食べられなかったが、最終日に立寄たったこの店で、バナナシェイクなら食べられると注文。旅行中やっと口にできた食べ物だった」という、観光中の家族とのほっこりするエピソードを紹介してくれた。

 また、迫力ある打演で観客を魅了する“太鼓衆鼓響”の代表という、もうひとつの顔を持つ康裕さん。野菜を売る優しい顔から、キリリとした鋭いまなざしで太鼓に向かう顔に変身。息子達もその姿に刺激を受け、共に太鼓衆として活躍中だ。

 仲良しな康裕さんとユリさんは、「野菜を買うだけではなく、気軽に立ち寄り一服してもらいたい」と笑顔で話した。

Fruit&Vegetable Kashima

小樽市山田町2-2
電話:0134-22-4730
営業時間:9:00~18:00 日曜日は午前中のみ
定休日:特になし
客数:6席