小樽市所有の「旧寿原邸」返還を打診!


suhara.jpg 財政難に喘ぐ小樽市(山田勝麿市長)は、水天宮に隣接する邸宅「旧寿原邸」(東雲町8)の維持・管理費が、財政に重くのしかかることから、寿原財団に返還することを打診している。
 旧寿原邸は、1912(大正1)年に、2,290平米の敷地に建築された木造2階建の邸宅。坂の高低差を活かした住居と庭があり、応接間から小樽港を見下ろすことが出来る眺望の良い建物。
 小豆将軍として知られた高橋直治氏が創建した建物。大正年代に小樽を代表する実業家・寿原外吉氏が譲り受けたが、1985(昭和60)年に外吉氏が亡くなり、妻のハツエさんがお世話になったお礼にと、翌年小樽市に寄贈した。
 寄贈を受けた市は、1988(昭和63)年から夏季限定(4月~11月)で、同邸の無料の一般開放を始めた。当初は、毎日開放していたが、入場者減と維持管理費を考慮し、2004(平成16)年からは、土・日・祝日のみ一般開放となっていた。たまに、お茶会や浪曲のサークル団体の和室利用もあるという。
 同邸の維持管理費用は、2003(平成15)年度265万円、2004(平成16)年度390万円、2005(平成17)年度113万円、2006(平成18)年度90万円かかっている。
 このため、今年2月の市長記者会見で、本社記者の質問に応え、「維持費がかかり、持ちきれないものですから、どうですかと話を持ちかけた」(山田市長)と、返還打診の事実を認めていた。
 市建設部庶務課によると、「まだ打診しているだけで、交渉は出来ていない」とし、今年も例年通り市が維持管理を行い、4月29日(日)から10月4日(木)までの土・日・祝日のみ無料で一般開放することにしている。
 せっかく寄贈された建物も維持管理出来ず、宝の持ち腐れのまま持ち主に返還しようとする市の対応は、発想の貧しさを露呈しているもので、通りかかチた市民は、「せっかく貰ったのに、十分な活用も出来ずに返してしまうのは、もったいないし残念としか言いようがない」と、雪を被った建物を見上げていた。