満身創痍の病院事業!危うさに与野党から疑問符!


council2.jpg 4月の市長選で最大の争点となった、新市立病院建設問題を審議する、市議会の市立病院調査特別委員会(成田晃司委員長)が、6月19日(火)13:00から、市役所第2委員会室で開かれた。
 本委員会には、6月18日付の病院事業資金収支計画の資料が配布され、これを基にして論議が行われた。同計画は、18年度決算見込みで、赤字隠しによる44億円の不良債務の発生で、19年度から23年度までの5ヵ年で、この不良債務を解消するという計画。しかし、医業収益的収支は、18年度決算見込みでも、これまで最大の6億1,100万円の赤字を出しており、二重の赤字対策が迫られている。
 この赤字解消策は、一般会計からの繰出を増大させて対応しようとしており、一般会計の繰出金は、今後5ヵ年で86億6,600万円もの巨額となる。これは、同じく、昨年12月1日付で出した資金収支計画の資料では、86億500万円の繰出となっていた。

 平成18年度医業収益的収支の赤字幅も、昨年12月資料の4億5,200万円から6億1,100万円へと跳ね上がった。この18年度決算見込みの6億1,100万円の医業収益的収支の赤字が、19年度からは一転して、5年間は黒字に転換する計画となっている。 (6月18日付病院事業計画資金収支計画参照) 
 この計画に対し、与野党の各委員から大きな疑問符が寄せられ、同計画のズサンさがさらに明らかになってきている。
 「市長選では、6割強の市民が反対している中で、市長は、市民不在の病院構想で築港建設を進めているのは、問題だ」(中島麗子委員)。
 「自治体財政健全化法が成立し、小樽市は、ワースト10に入っている中で、前財政部長は、悪夢のことは考えたくないと言っているが、病院会計の穴埋めに一般会計が耐えられるのか。それにしても、平成19年度医業収益の見込みは、患者数が減少している中で、過大ではないか。しかも、今後5年間で、一般会計からの繰出金108億円は、最大値でないかもしれない。このままの病院計画では、新たに市民負担が増えざるを得ない」(古沢勝則委員)。
 「病院経営が財政の足を引っ張ることが分かってきた。今後の実質赤字比率は、拡大されるのか」(山田雅敏委員)。「財政的な部分で市民が心配している。市民の心配を無くすために地道な広報活動を」(濱本進委員)。
 「今後どうなっていくのかが一番の問題。起債の具体的な流れはどうなっていくのか。一人当たりの負担額は、いくらになるか」(秋元智憲委員)。「不良債務の病院解消分とは、一般会計からの繰出のことか。収支計画で気になる点がある。基本設計でなぜ久米設計と決まったのか。1平米30万円という建築単価のちゃんとした数字は、いつ頃発表出来るのか」(高橋克幸委員)。
 「病院の機能評価取得をいつ頃まで行うのか。18年度決算見込みの病院赤字6億1,100万円の収支改善は、月5,000万円の数字を出さなければならないのは大変な努力が必要だ。19年度の収支計画で黒字が1円も出ず、最終的には収支ゼロの時、一般会計からの繰入の数字はどうなるのか」(斎藤博行委員)と、各委員から様々な疑問符が投げ掛けられた。
 これに対し、市の理事者は、「病院会計が一般会計に大きな影響を及ぼすことは間違いございません。一般会計自体の赤字解消作業も、病院計画がうまくいかない場合は、全庁的に考えなければならない。市の財政健全化が難しいというなら、さらなる取組みが必要になってくる」(貞原正夫財政部長)。「病院会計は、これから3ヶ月の診療報酬を見てみたい。平成19年度の36億円の不良債務が年度末に増えれば、起債を認められないことになる。これから10ヶ月あるから、この収支計画をあらゆる手段を使い、頑張っていく」(小軽米文仁事務局長)。
 
 3期目に入った山田市長が、市民6割の反対を押し切り推進する築港地区での病院計画は、現在の市立2病院の収支が黒字化し、44億の不良債務を5年間で解消しなければならない崖っぷちに立たされている。
 しかも、築港地区での新病院建設の起債許可を取り付ける前に見切り発車し、基本設計を進めている本末転倒の施策が厳しい状況に立たされていることが、理事者答弁から読み取れる。これから今年度中にも、用地買収や実施設計では、起債許可が必要となってくる。そのための資金収支計画だが、6ヶ月前の計画とは、大幅に変更され、一般会計の繰出がさらに増加している。子ガメ(病院会計)を救うために、親ガメ(一般会計)からの繰出がさらに増大し、子ガメがこけると親ガメもこけるジレンマに陥っている。
 市の病院事業会計資金収支計画なるものは、“机上の空論”か“絵に描いた餅”に終わる公算が極めて強いことが明らかになってきた。病院新築のためには、現病院の44億もの不良債務の解消も容易ではなく、19年度の収益黒字4億6,600万円があと10ヶ月で達成出来なかったときは、起債も認められない重大事態を招くことになる。小樽の病院問題から目が離せない事態となった。
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 (2007年6月18日付病院事業計画資金収支計画参照) 
 (2006年12月1日付病院事業計画資金収支計画参照)