新病院の巨額起債申請!第1回目は道が協議を先送り!

 小樽市が強硬に進めている築港地区での新市立病院建設のための資金調達の起債(地方債)で、JR用地購入費に充てる起債許可が下りないまま、道による協議が異例の先送りにされている。



 基本設計約6,000万円をかけ、築港地区に新病院建設を進める小樽市(山田勝麿市長)は、総額156億円を起債(地方債)による借金で賄おうとしている。
 市の病院事業資金収支計画によると、2007(平成19)年度の起債額は、10億5,800万円で、このうち、2億9,700万円が、ガンマカメラやX線テレビ、CTなどの医療機器の更新のためで、残りの7億6,100万円を、築港地区のJR用地購入費に充てることにしている。
 市は、単年度ごとにする起債申請で、今年5月、2007(平成19)年度分として、10億5,800万円の起債協議を道庁と開始したが、病院会計で不良債務となっている累積赤字44億円の解消策を求められた。このため、市は、5年で解消する資金収支計画書の提出を行っていた。
 しかし、道は、市立病院の患者数の減少などから、今後の病院経営状況の推移を見守るとして、起債協議を異例の先延ばしにした。国が、道を通じ、起債許可の同意を出すのは、9月〜10月と1月〜2月の1年度に2回。今回、市の起債については、1回目の同意は得られず先送りとなっており、2回目の1月〜2月に下りることを、市は、首を長くして待っている状態だ。2回目の同意は、「何が何でも認めてもらわなければならない」(病院事務局)と焦っている。
 新病院建設の起債は、2007(平成19)年度の土地購入費7億6,100万円、2008(平成20)年度の実施設計、医療機器更新・建設工事費・新病院の維持システム構築費など8億4,400万円、2009(平成21)年度の新病院建設費・システム構築費58億2,500万円、2010(平成22)年度の新病院建設費・システム構築費・新病院の医療機器購入費56億1,500万円、2011(平成23)年度の新病院建設費・システム構築費・PC購入費・2011年秋開院のための医療機器購入費など25億7,200万円、計156億円の巨額起債を、5年間で行うことを目論んでいる。
 新病院建設の起債額156億円に、利子など54億円も必要で、総額210億円の巨額費用が必要となる。起債のうち、医療機器は5年の償還、建物・土地は5年据置きの25年の計30年間で償還することにしている。210億円を30年間で返済すると、年間7億円となる。この7億円を病院会計と一般会計とが各50%の3.5億円ずつを負担する計画となっている。
 だが、道がすでに国の意向を斟酌してか、起債協議を異例の先送りにした。国(総務省)は、「公立病院改革懇談会」(長隆座長)を設置し、全国の自治体病院再生のためのガイドライン作りに乗り出しており、2008(平成20)年度から適用する方針を固めている。
 市長は、「国のガイドライン策定が、今年度の起債借入れに、直接影響を及ぼすものとは思っていない」と、9月市議会で答弁しているが、2007(平成19)年度病院会計や一般会計の破綻した状況が、白日の下にさらされたことから、これが”自業自得”となって、市に跳ね返ってくる可能性が極めて強い。
 関連記事