市の病院収支計画は”論外だ”!長座長のインタビュー!


 小樽の新病院建設計画が急転する中、小樽ジャーナルでは、総務省「公立病院改革懇談会」の長隆座長(公認会計士)に、国のガイドラインと小樽の病院問題の関連について、13日(火)に電話インタビューを行った。
 ガイドラインを集約したばかりの長座長は、これからは赤字補てんの税金投入を認めず、病院の黒字化が必要と明言し、小樽市長が進める築港地区での新病院建設の可能性はまったくなく、このままでは健全化法でレッドカードになるのではないかとの厳しい見通しを述べた。
 山田勝麿市長は、これまで、市議会で、「国のガイドラインが、今年度の起債借入れに、直接影響を及ぼすものとは思っていない」 と答弁し、がむしゃらに新病院建設を進めていた。しかし、12日(月)に市長は、急転直下、発注済の基本設計の中断と用地購入を先送りする方針転換を図った。その理由が、今度は一転して、国のガイドラインを見極めるということだったのは、大いなる皮肉となった。
 長座長は、9月24日のインタビュー(こちら)で、 「小樽の病院の起債は、総務省は絶対に認めない」と断言していた。市は、国の固い公立病院改革意思から、結局、道との事前協議も整わなかったことで、今年度の起債許可が取れず、新病院の建設に重要な位置を占める基本設計を諦めざるを得なくなった。
 病院問題で、今後の山田市長の具体的な取組みが、どうなされるかに関心が集まるところだ。”白旗”をかかげた市長は、どこへ行こうとしているのだろうか。今後の小樽病院問題の行方を考えるのに、長座長のインタビューが大きな参考となる。

 「昨日の小樽ジャーナルで見たが、小樽市の病院事業の見直しの資金収支計画は、”論外”だ。わずか半年で、コロコロ変わる計画は問題だ。半年先も見通せないで、5、6年先を見通せるのかということですよ。小樽市は、当事者能力がないじゃないですか。市には、行政能力がなく、ガバナンスがない。
 ガイドラインが出て、公立病院の経営は、いままでのままではいけないということ。総務省の方針は、もっともっと厳しいですよ。これからは、一般会計からの繰出しを、病院の赤字補てんに使うのは認められないということ。いままでは、無制限にジャブジャブ繰出してやってきたが、これからは認められない。努力して税金投入しないで頑張っているところとのバランスが取れないですよ。
 バカでかい病院を造っても、北大や札幌医大には、医師派遣の余裕は全くない。小樽市が、国の方針とは関係なくやるなら仕方が無いが、国の方針を尊重するなら、一般会計からの繰出しでなく、本業による利益で赤字を埋めて欲しい。税金投入をゼロにすることが必要だ。赤字補てんは大幅に見直すので、ふざけている病院や、やる気のない病院はダメで、今から、黒字にしろということだ。
 経営形態の見直しも具体的に示さないといけない。小樽は、ガイドラインのパターンⅣで行くべきで、公と民とが協力していくべきだ。隣に協会病院があるのだから、役割を分担して官民協力で、マンパワーを投入して中核病院をやれば良い。東海市民病院の例がある。税金投入しないで、協会病院を中心に役割分担して、病床利用率95%の病院を目指すべきではないか。200床で在院日数を14日にすれば、400床レベルの病院になる。連絡協議会を直ちに立ち上げるべきだ。民間では、200床の病院は、1床あたり1,500万円の30億円で出来る。昨日の市議会の論議に出ていたが、用地購入に金をかけないで、量徳小でもやれば出来るはずだ。量徳小でも良いではないですか。
 来年からすべての自治体は、改革プランの策定をしなければならず、20年度から一般会計からの繰出し投入は認められない。資金不足比率で、小樽は、外部の包括監査や個別監査も義務付けられることになる。小樽市は、これまで、外部監査などをしたことはないでしょ。監査で目をつぶってくれる公認会計士はいないから、ちゃんとした監査が出ると思う。
 官民の病院が乱立しているところの公立病院は、黒字経営が出来ない場合は、止めてもらうということだ。一般会計を使っての赤字補てんは出来なくなるので、小樽は、結局、健全化法でレッドカードになるのではないか」 と、明確に語ってくれた。
 総務省が12日(月)に発表したガイドラインは、今後の小樽の病院問題に大きな影響を及ぼすことになった。市は、平成20年度内に、このガイドラインに沿った数値目標をつけた改革プランの策定が、急務となった。
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