市立小樽第二病院(長橋3・馬渕正二院長)では、10月・11月と、2ヶ月連続で、国が定める看護師配置による入院基本料(診療報酬)算定基準の「月平均夜勤時間72時間以内」をオーバーしており、綱渡りの看護師配置に追われていることが分かった。
同院が、7対1看護による入院基本料(診療報酬・患者1人15,550円)を確保するには、看護師1人当たりの夜勤時間を72時間以内にしなければならないという算定基準が設けられている。
72時間をオーバーすると、7対1の入院基本料15,550円から特別入院基本料5,750円に減額されることになり、第二病院では、月額約2,860万円、年額約3億4,300万円の減収になる計算となる。
平均夜勤時間の算定は、1クールの総夜勤時間割る夜勤従事者(看護師)となっている。少しでも夜勤従事者を増やせば看護師1人の平均夜勤時間が減るため、同院では、あらゆる手段を駆使し、夜勤従事者の増加に取り組んでいる。
同院では、1クールを4週間(28日)と計算し、夜勤時間帯を17:50~9:50に設定している。これにより、実際の夜勤従事者のほかに、全日勤者(8:50~17:20)でも、8:50から9:50までは1時間の夜勤時間が付くことになる。夜勤従事者のカウントの条件は、夜勤17時間以上のため、1クール28日(4週8休)のうち、17日働くことが絶対条件となる。
72時間以内の基準オーバーは、1割以内に限って、3ヶ月連続まで認められている。10月、11月が72時間を連続オーバーしたことで、同院の看護師配置の手腕が問われていた。
10月分は、9月13日から10月10日までの28日間で、9月末に退職した看護師3人がほとんど夜勤に入ってなかったことや、9月に4週8休以外に祝日が2回あったこと、10月1日採用者が全日勤10日で10時間分しか夜勤時間がつかなかったこと、夜勤に入れない育児休暇(育休)明けの看護師がたまたま有休休暇(有休)を2日とったことなどを理由に、1クールの総夜勤時間5421.6時間に対し、夜勤従事者を75人しかカウント出来なかった。このため、平均夜勤時間が72.3時間となり、規定時間をオーバーした。
さらに、11月分の10月11日から11月7日までは、4週8休に祝日が2回入ったことや、育休明けの看護師が健康増進休暇(4日)をとったことなどで、全日勤者5人が夜勤時間16時間を超えなかったため、総夜勤時間5411.8時間に対し、夜勤従事者が73人で平均74.2時間となり、2ヶ月連続でオーバーすることになった。
連続3ヶ月のリーチ一歩手前となった12月分の11月8日から12月5日までは、育休明けの看護師が夜勤に入れるようになったことや、全日勤者が17日間働いたことなどで、総夜勤時間5477.2時間に対して78人確保したため平均70.2時間となり、なんとか規定の72時間以内を保つことが出来た。
このため、入院基本料減額の危機をなんとか免れたが、綱渡りの看護師配置が続いている。「10月、11月は、夜勤勤務が出来ない人が、たまたま休日を取ってしまったりで、夜勤従事者の数が少なくなり、平均の72時間以内を超えてしまった。しかし、連続3ヶ月までは、1割以内のオーバーは認められているので、12月分がクリア出来たので入院基本料は確保出来た」(第二病院)と話している。
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