老朽化進む能楽堂の再建を 旧岡崎家能舞台を生かす会


 旧岡崎家能舞台を生かす会(三ツ江匡弘会長)は、「小樽市は、市指定歴史的建造物の旧岡崎家能舞台のことを小樽市能楽堂と呼んでいる。能楽堂とは、能や狂言を演じる舞台を持つ劇場のこと。市が、能楽堂と呼ぶなら、本来の能楽堂らしく整備して欲しい」と、市に働きかけを行うと同時に、市民に対しては、正しい能を楽しく学べる事業を行うことにしている。
 『小樽市能楽堂』(旧岡崎家能舞台)は、現在、小樽公園内の小樽市公会堂に併設されている。荒物雑貨業で財を成した豪商・岡崎謙氏が、1926(大正15)年、入船町の自邸に建設したもので、当時は、小樽能楽堂と呼ばれていたという。江戸幕府が定めた能舞台をつくる際の格式の中で、大名屋敷につくられる最上級の形式でつくられている。
 1954(昭和29)年に岡崎氏が他界すると、故人の遺志として、この小樽能楽堂の本舞台と橋懸かり部分が市に寄贈され、6年後の1960(昭和35)年に現在地に移築された。この時に小樽市能楽堂と呼称するようになったという。
 この移築時に、現在の演能に不可欠となっている舞台切戸口(舞台向かって右)が閉じられ、専用の見所、楽屋がなくなった。このため、「正式な能楽公演には不向きの状態となり、能を演じる空間、能を見る空間である能楽堂としては、未整備のまま現在に至っている。また老朽化によって傷みも進んでいるため、その再建が強く望まれている」と、再建案を考えて市に働きかけを強めることにしている。
 今年度は、団体向け能楽堂入門プログラム「能楽あれこれ講座」(6月~8月)やワークショップ「たのしもう!狂言の世界」(7月5日)、「現代狂言 北海道公演 in 小樽」(8月14日)、伝統文化こども教室「能を楽しもうプロジェクト2009」(秋)など、市民が正しく能を学び楽しめる事業を実施することにしている。
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