解体工事で旧板谷邸が半分に! 歴建部分は保存



 小樽市内で有数の大邸宅の旧板谷宮吉邸(東雲町1)の解体工事が進み、保存することになっている歴史的建造物として指定されている表面玄関や洋館、土蔵部分を除いた、邸宅の約半分が、8月31日までに取り壊された。
 旧板谷宮吉邸は、小樽が生んだ海運王・板谷宮吉(板谷商船の創立者)の邸宅。約5,000平方メートル(約1,500坪)の敷地に、約482平方メートル(約146坪)の和洋折衷の木造2階建。1927(昭和2)年に建てられた。木造の母屋に続き、洋館が併設され、道内有数の大邸宅として知られている。
 1996年に札幌の不動産業者の手に渡り、木造建物の老朽化に勝てず、オーナーは、2010年に賃貸マンション建設に踏み切った。すでに1号棟は完成しており、現在、2号棟の建設に入っている。この賃貸マンション2号棟の建設のために、8月から、同邸宅の約半分を解体撤去工事が始まっていた。
 解体工事は、着々と進み、8月末には、邸宅の約半分が解体された。現在は、基礎部分の撤去作業が行なわれている。
 板谷商船の盛衰を見てきた、近所に住む元水産業者の高齢者(83)は、「あの板谷さんの屋敷が半分になってしまうなんて、当時は考えることもできなかった。小樽の時代の流れを痛感する。時とともに屋敷がなくなってしまっても、板谷宮吉さんが小樽に貢献した事実は、無くなることはないと思う」と話していた。
 小樽の時の流れのままに、海運王の大邸宅は、今、賃貸マンションに変貌していく。
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