「心を育てる人間講座」開く 個性の大事さを実感


kokoro.jpg 平成23年度「心を育てる講座(人間講座)〜子どもの健やかな発達を願って・子どもを見つめ、心を育てる親として〜」の全4回講座の第1回目が、9月15日(木)10:00より、小樽市生涯学習プラザ「レピオ」第6学習室で行われた。参加者は12名。講師は、元小学校教諭の渡辺守氏。今回のテーマは「改めて、子どものとらえを!」
 渡辺氏は、終戦を小学校1年生の時に体験した。「物語『一つの花』今西祐行作は、戦前戦後10年間を取り上げている。小学4年生対象のものであるが、大震災の復興を重ね合わせて考えてみたいと取り上げた。金子みすずさんの詩集を何度も読み返している。詩や物語を通して、人間について、人間関係のありようなどについて共に学び、子どもを捉えることの大切さに気付いてほしい。
 学校教育と家庭教育の違いは、学校教育は、カリキュラムに基づいて行われ、家庭教育は、生きる基礎を学ぶ場所。食事、挨拶、基本的生活習慣であるが、現在、壊れてきている。基本的生活習慣よりも文字を早く覚えさせたり、すべき事ができていない。この度の大震災で感じた事は、訳の分らない説明や嘘ばかりが述べられ、平気で嘘をつく世の中、嘘をつかなければならない政策に怒りを感じた。
 どんな事があろうと心から支えていく事が大切で、心を一つにする事である。小樽では震災に対する実践活動がなく、岐阜の小学校では、すぐに取り組みが始まった。子ども達は、震災についての思いや考えを書き表し、校長からは、今起きている現状を分りやすく話していた。
 北海道では、学力を高める事を問題として取り上げているが、人間とは何か?子どもに易しく課題を与え、その中で考えさせ、それから、学力を高めればよい。詩や物語は、言葉の芸術で、人間であるという基本的問題、人間と人間のかかわり方などを学ぶ。子ども達の未来に向けての生き方の直結した問題や課題が、作品を通して問いかけられている」と話した。
 さらに、蕪村の俳句をあげ、「この情景に感動している作者がいて、自然の動きは、人間がどう生きようと変わらないが、改めて、自分を見直すきっかけになったのではとも考えられる。金子みすずの詩の『わたしと子鳥とすずと』からは、当時の女性の立場は大変なもので、みすずの個性も認められず、個性というものの大事さに気付かされる。いろいろな場面に立会い、人間として孤独で、自分に問い、自分で答える寂しい人。感性だけで描いている。子どもを交えて詩を勉強していくと、子どもは、詩が好きになる。教育を改めて、考え直していくことも伝えたい」と話した。
 潮見台中学校PTAの小野さんは、「学校から案内をもらい、どんな話なのか楽しみにしてきた。大震災が起き、ある学校長の話は忘れてはならない事だと改めて思った。そして、詩を通していろいろ想像したり感じたり、詩の話もとても楽しみ。堅苦しい話よりも、小樽での終戦当時の話も興味深く、良かった。学校の先生にも是非聞いてもらいたい内容」と語った。
 第2回目は、9月22日(木)、第3回目9月29日(木)、第4回目10月6日(木)どちらも10:00より。都合の良いときに参加OK。詩「のはらうた(工藤直子)」は、子どもに人気が高く、まどみちおの詩などと読み比べながら、描かれる人間・人間関係を考える。