一等地に相次ぐ高齢者住宅 消える小樽の繁華街!


grandH1.jpg 市内の繁華街、花園1丁目の高齢者住宅に続いて、稲穂1丁目旧グランドホテル・丸井今井跡にも高齢者住宅が建設されることになり、22日(月)から、かってのホテル表面玄関やサンモール側には解体のための足場が組まれ始めた。
 小樽の稲穂1丁目にある旧丸井今井・グランドホテルは、長年にわたり市内の商業地の最高価格を示し、小樽市での商業集積地の繁華街の中心地として市民に親しまれてきた。
 市内稲穂の中心商店街・サンモール一番街に面して建つ商業ビルは、1990(平成2)年に、丸井今井主導で市街地再開発事業として約130億円かけて造られた。地上13階・地下1階建(延43,600平米)に、丸井今井小樽店と小樽グランドホテルが入居し、小樽のランドマーク的存在だった。
 しかし、丸井今井の破綻で、2005(平成17)年10月に小樽店は撤退。2009(平成21)年2月には、小樽グランドホテルが営業停止に追い込まれ、以降、空洞化が続き、雨風雪にさらされ、”幽霊ビル”となっていた。
 同ビルの所有者だった小樽開発株式会社は、負債が80億円に膨らみ、2010年4月に破産した。2010年4月、札幌地方裁判所が不動産競売の公告を行った。2011年4月の第1回の競売の最低価格は、6億2,195万円とされたが、買い手は現れなかった。第2回の競売は、同年8月に、最低価格を前回の半分の3億1,089万円に下げたが、それでも買い手は現れなかった。2012年1月に入り、第3回目の競売の最低価格が、6,671万400円として公告されたが、このバナナの叩き売りにも買い手は名乗りを挙げなかった。
 小樽市(中松義治市長)は、庁内にプロジェクトチームを結成し、商工会議所(山本秀明会頭)とともにこの問題に取り組んだが、一向に成果を挙げられないままに終始した。
 2013年2月に至り、ようやく再開発に取り組む業者が名乗りを上げ、同土地建物を一括購入した。この巨大幽霊ビルを購入したのは、札幌市中央区に本社を置く株式会社日本レーベン(枝廣誠彦代表取締社長)。同社は、東証一部上場企業、株式会社メディカルシステムネットワークの100%子会社。事業内容は、医療機関・薬局の開業開局支援・経営コンサルタント、「医療」を目的とする不動産の所有、賃貸及び企画開発などをあげている。最近では、サービス付き高齢者向け住宅に力を入れている。
 売買契約の成立で、同社は、これまで滞納されていた固定資産税43,734,994円と都市計画税9,371,777円の計53,106,771円(平成21年度)と延滞金などの市税も納入し、関係地権者の転居費用も負担したとされる。
 同社は、小樽のランドマークとして長年君臨してきた特徴ある5つもの三角屋根の13階建てビルを、老朽化のため解体し、跡地にサービス付き高齢者住宅を建設することにしている。解体費用約10億円と見込まれている。建設する高齢者住宅は、地下1階6階建て80戸が計画され、物販施設等の併設を視野に検討している模様だ。
 目と鼻の先にある花園1丁目には、6階建て59戸「ヴェラス・クオーレ小樽」が、2009年3月にオープンしており、今度は稲穂1丁目に6階建て80戸の高齢者住宅が建てられる予定だ
 13階建ての商業ビルが6階建ての高齢者ビルに変身することに、周辺商店主や市民から戸惑いの声が上がっている。

 現場を見ていた長橋在住の市民は「ここに高齢者住宅を建てたら、周辺が活性化することなんてことはないわ。誰が考えても分かることよ。今、何かの集まりがあると、市民はタクシー代をかけて築港のグランドパークまでわざわざ出向かなければならない。高齢者住宅では、観光客や市民も集うことができず、繁華街が死んでしまうわよ。喜んでいるのは市や市議会、商工会議所と、どこかの新聞社くらいじゃないの。普通の市民は、何の発想もない観光都市小樽にあきれているわ。高齢者住宅なら、空いているウイングベイ小樽の3、4階に造れば良いのよ。小樽を代表する繁華街には、観光客や市民が来れるちゃんとしたホテルが、絶対必要」と冷淡だ。
 花銀の商店主は「ここに出来た高齢者住宅で、花銀通りが活性化したとでも言うの。人が全然歩いていないのに、目と鼻の先の一等地に次々と高齢者住宅では、周辺商店街も死んでしまう。何とかならないのか。せめて小樽グランドホテルの3階部分の宴会場や集会場、結婚式場などを併設してもらえないものか。小樽の繁華街の中心地が、姥捨て山になってしまう」とお怒りだ。
 2013年4月に始まった解体工事は1年間かかり、2014年3月には更地となる。
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