人間国宝・野村万作氏 小樽で狂言公演!

 旧岡崎家能舞台(花園5・小樽市公会堂)で、9月3日(火)18:30から、人間国宝・野村万作氏(82)が狂言公演を行った。
otarukyougen1.jpg 主催する「旧岡崎家能舞台を活かす会」(三ッ江匡弘会長)の設立5周年を記念して、小樽能文化復興継承プロジェクト「おたる狂言堂」として行われた。この貴重な機会に、由緒ある小樽の能舞台を市民ら120人が囲み、万作氏の至芸を鑑賞した。
 袴狂言「昆布売」、狂言「清水」、野村氏出演の狂言「二人袴」の3つの演目で開かれた。野村氏は、小樽に親戚がいたことで小樽は思い出の地となっている。講演会や、一昨年には同舞台で初公演を開催、今回2回目の公演となった。
otarukyougen2.jpg 公演に先立ち、活かす会の三ッ江匡弘会長は挨拶の中で、能舞台としての機能を存分に果たせる設え(しつらえ)となったことを報告。能舞台上手にある切戸口の昨年の開放に続き、舞台正面の空堀部分への客席スタンドの設置(残念ながら雨で使用中止)。舞台裏に楽屋を設け、楽屋と見所を結ぶ通路スタンドを仮設で設置した。「やっと能楽堂と言えるようになり、その中での狂言は初めてで、記念すべき日を皆さんで楽しんでもらいたい」と話した。
yougennomura2.jpg 野村氏は、「能と狂言は車の車輪のように例えられ、双子や兄弟とも例えられる。能は、謡いが中心で台詞や仕草を軽く、狂言は、台詞、仕草が大切。能は、言葉が難しいが、謡いは音楽的にも美しさを感じる。狂言は、台詞を理解しなくては面白さが分りにくい」と能と狂言の違いについて語った。
 野村氏が出演する「二人袴」について、「聟(むこ)が1人で聟入りする内容。ここでの聟入りとは、聟が嫁の家へ挨拶に行くことを言う。聟と父親で正装の袴が1つしかなく、代わる代わる穿(は)いて舅に挨拶に行くが、最後になんとか2人で挨拶しようと工夫する狂言の人気曲で、5つの中に入る楽しい曲」と解説。二人袴の解説
yougennomura1.jpg また、「笑わせようと演技するのではなく、舞いや謡いを学び、その上に仕草を学ぶ。なるべく美しい姿で、能と同じくすり足で演じる。観客も自然に楽しいと思ってくれるのが、最高の狂言と言え、笑いの質を伝えていると思う。能と共に歩み育ち、品格を持った狂言ができる」と語った。
 
 観客は、次第に野村狂言の世界に引き込まれ、会場から笑いの渦が沸き起こった。「二人袴」の万作氏のこっけいな仕草さなど、極めつくした最高の芸に大きな拍手が贈られた。
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