憩いの中野植物園 北の造園遺産認定!


nakanosyokubutsu1.jpg 小樽市清水町にある私設の中野植物園(清水町26・中野平八郎園長)が、2015(平成27)年7月1日付けで、北の造園遺産に認定された。
 北の造園遺産とは、公益社団法人日本造園学会北海道支部(大塚英典支部長)が実施する事業。優れた造園価値を持ち、次世代のランドスケープ形成に役立つ重要な遺産を認定し、これまでに、道内25の公園等が選ばれた。
 同園は、同支部の担当者・笠康三郎氏の推薦により、2015(平成27)年第6次の選考で、北の造園遺産第24号として認定され、私設では、滝上町の陽殖園に次ぐ2例目となる。
 「家族経営で100年以上も存続し、地域住民に親しまれ、文化的・歴史的価値が高く、市街地の良好な生態系の維持にも貢献している」と高く評価された。
 市内では4番目の認定で、他には、2010(平成22)年の第1次の認定で小樽公園(第4号)、2014(平成26)年第5次認定で、手宮公園(第21号)と小樽カントリー倶楽部旧コース(第23号)が認定を受けている。
nakanosyokubutsu2.jpg 選定される対象は、技術的・造形的・地域的・景観形成・自然の保全創出・思い入れの価値のいずれか。または、複数の基準で高く評価されたもので、造園の歴史的視点や景観の形成に役立つ貴重な存在のもの。
 
 1908(明治41)年創立で、107年の歴史ある私設の同園は、敷地面積約50,000㎡。1972(昭和47)年3月には、環境緑地保護地区に指定。1994(平成6)年に小樽指定保全樹林となる。
 雪解けと共に開園し、春は桜・ツツジなどの花々が咲き、夏には森林浴や様々な野鳥のバードウオッチング、秋の紅葉と季節ごとに楽しめ、運が良ければ、エゾリスに遭遇できる。
 幼稚園や小学校の遠足やレクレーション等に利用され、昨年は、カメラ女子が訪れるなど、撮影スポットとしても人気を集めている。子どもから高齢者まで、憩いの場となっている。
 2代目となる中野園長の父・鹿蔵氏が、庭づくりのために、苗木を運び植えたのが始まりで、市民に開放しようと1908(明治41)年に開園した。息子の平八郎氏が後継者となり、家族で園内の管理を行っている。
 春から秋まで園内の草取りに励み、子ども達に楽しんでもらおうと、手作りのメリーゴーランドやブランコ・滑り台など約30基の遊具を設置し、毎年春にペンキを塗り直している。落ち葉の片付けなど、広大な敷地の管理は大変なもの。

 36科98種類の木々があり、春には、エゾムラサキツツジやエゾヤマザクラ、ソメイヨシノが咲き乱れ、6月には一重の藤が、次に八重の藤が咲く。エゾリスやシマヘビ、オオルリやヒレンジャクなどの野鳥、蝶やバッタの昆虫など、動植物の宝庫となり、来園者を楽しませている。
 現在は、紫陽花が見頃となり、野鳥では、アオバトの鳴き声が聞こえてくる。
 中野園長が撮影したアルバムには、春の色着くノムラモミジの様子や、秋の真っ赤な紅葉、初雪と赤い紅葉の絶景など、管理者ならではのベストショットな風景が写真に収められている。
 中野園長は、「長い間の努力が認められた。植物園全体を見てもらいたい。花々やコケの様子なども楽しんでもらいたい」と話した。
 中野植物園 小樽市清水町26ー30
 4月下旬から積雪までの9:00〜17:00
 入園料:大人200円・小人100円・グランド使用料(1日)2,000円
 日本造園学会北海道支部
 北の造園遺産ギャラリー
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