個性豊かな作家が集結!THEY展 14日(日)まで


 市立小樽美術館(色内1)1階ギャラリーを貸切にして、THEY展が、8月14日(日)まで開かれている。
theyten1.jpg 個性溢れる作家12名が集結して、絵画・インスタレーション・版画・アクリル画など53点を展示し、来場者を芸術の世界へ誘った。
 同展は、代表の画家・三宅悟氏が、作家仲間のTHEY(彼ら)に「どうしているか?」と呼びかけ、昨年7月に初開催され、今年は新メンバー1人増員して開催された。
 8年前から「心のひだ」をテーマに描く小川豊氏は5点を出展。「あやふやだったものが強い主張となり、コンセプトが固まった」と話す。「生きるとは何か、この世に生まれたのは様々な試練を与えられ、喜怒哀楽を経験し、ダブロー(板絵やキャンバス画)を通して心のひだを探っています」と添え書きがある。
theyten2.jpg 今回はこれまでと違い、赤のひだに青のアクセントや青のひだに赤のアクセントをつけ、心境の変化を表現した。
 2016年4月に第43回北海道抽象派作家協会展(札幌市民ギャラリー開催)に出展した、幅360cm×高さ180cmのベニア板に描いた作品は、いままでになかった心のずれを表現している。最新作2016年8月に完成したひだには、初めてゴールドを加えて、心のひだの変化を表現している。
 高橋一文氏は、「雨の痕跡2016」を発表。これまで立体造形を発表していたが、今回は、昨年から制作を始めた、雨粒が描いた作品を出展した。
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 F15サイズのキャンバスに、ブルー系の水彩絵具と水彩色鉛筆を塗り準備。雨が降るのを待ち、雨の量にもよるが、30秒から1分間雨に打たれた様子を作品にした。作品を見て、一瞬抽象画のようでもあるが、実は、自然(雨)が描いたものであることを狙ったという。円にこだわっていたこともあり、四角い作品を円形に並べて展示している。
 上嶋秀俊氏は、「水のきおく」と「私たちは、どこに立っているのか」の2点を出展。 「水のきおく」は、シナベニアにアクリル絵具を使って独特の色を生み出し色彩し、レリーフ状に削った造形的作品。ひとつのパーツではなく、いくつかのパーツを、壁をキャンバスに空間を利用して描くスタイル。
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 動植物には水は不可欠で大切なもので、植物は根から水を吸い込み、栄養にして葉や花になり、エネルギーのひとつで生命力の源となる。上嶋氏は、水の連鎖をモチーフにして色や形を与え制作したという。
 一方、「私たちは、どこに立っているのか」は、2011年の震災時に、北海道でも揺れ不安となり、原発事故も起きもたらしたものは大きいと感じた。その中で、水も災害の影響を大きく受け、不安に駆られた言葉をタイトルにした。
 2016年3月震災5年目となり、忘れがちな震災の出来事を思い出し、水を表現した。石を使い、穏やかな部分と侵食された相反する部分の共存。綺麗なエメラルドグリーンは、安心できる海の深みをイメージしたという。
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 小川氏は、「公募展では、それぞれの作家の技術を楽しませるために開催されるが、この作品展は、来場者が身近に作品に触れ、気楽に観てもらい楽ししんでもらいたい」と話した。
 会場には、それぞれの作家の思いが作品に表現され、来場者は、じっくりと作品を眺め想像を膨らませ鑑賞を楽しんでいた。
 THEY展 8月9日(火)~14日(日)10:00~17:00(最終日16:30)
 市立小樽美術館(色内1)多目的・市民ギャラリー 入場無料
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