懐かしい小樽の冬!博物館企画展"冬色グラフィティ"


1130museum1.jpg 小樽市総合博物館(手宮1)企画展「小樽冬色グラフィティ」が、11月18日(土)から4月8日(日)まで、同館本館2階企画展示室で開かれている。
 小樽の明治から昭和にかけての懐かしい冬の情景やイベントについて、旧小樽市立北手宮小学校雪まつり資料館の所蔵資料や、同館所蔵資料と合わせて約150点を展示。
 1988(昭和63)年2月27日に、リラの会(旧小樽市立北手宮小学校雪まつり資料館運営委員会)のメンバー15人ほどが中心となり、同校内に雪まつり資料館を開設。多くの人に親しまれてきたが、2016(平成28)年3月末の閉校とともに閉館。その貴重な資料を同館が保管している。
 会場では、冬の情景や行事・遊び・道具・装いなどのテーマに分けて紹介。冬の行事として、同校の雪まつりと正月を紹介している。
1130museum2.jpg 同校の2代目校長の高山喜一郎氏によって、「厳しい自然環境を教育に活かそう」と、第1回北手宮小雪まつりが、1935(昭和10)年に開催され、さっぽろ雪まつりのルーツのひとつと言われた。児童が梯子に上り、雪を渡して高く積み上げ雪像を作る特徴があった。当時の写真からその様子を伺い知ることができる。
 正月については、奥山コレクションから、明治後期に撮影された、家の前や銀行等に飾られた大きな門松の写真を展示。
 1874(明治21)年元旦、西川忍路支店小樽分店の日誌には、当時の市街地の元旦の様子を、「家々は『倉松』を植え、国旗を掲出。新年を祝う挨拶回りをする人達で溢れていた」と記されている。
 1918(大正7)年元旦の稲垣日誌からは、校長先生としての元旦の過ごし方が記されている。国旗を掲出し、皇居方向に向かって最敬礼し、小樽区役所に立ち寄り、勤務先の稲穂尋常高等小学校の拝賀式では新年の訓示演説を行ったという。
 土産などに使われていた絵葉書には、ポーズを決めた遊女と橇(そり)を引く車夫の「小樽橇美人」、軒下のつららを集めた「見事なるつらら」などが載せられ、いろは堂が制作販売していた。
1130museum3.jpg 会場中心には、生活の必需品だった木製の橇を展示。人を運ぶ・人力ぞり、物を運ぶ・荷ぞり、子どもが遊ぶ・子ども用ぞり、動物が引く・馬そりや犬ぞりなどを展示している。馬そりには、腰掛けるもできる。
 冬の装いでは、雪げたや女性用の角巻、男性用の二重まわし、防寒用手袋のテッカエシ、わらを編んで作った履物など、雪まつり資料館の資料。
 冬の遊びでは、長靴につける雪スケートや木製スキーや竹製ストック、札幌冬季オリンピックモデルのアジアスキー製の板。日立化成工業(茨城県結城工場)でもスキー板を製造していた(昭和46年〜53年頃)。
 2015(平成27)年に閉校した塩谷中学校のスポーツハウスにあった、小樽野村スキー製のスキー板にスポーツハウスと書かれた看板も。
1118-0408museum.jpg このほか、厳しい冬を乗り切る道具として欠かせない雪かきやストーブなど、雪まつり資料館所蔵の資料が、再び、博物館で目にすることができる。
 担当の菅原慶郎学芸員は、「暖かい展示室で、昔の小樽の冬景色など寒い冬を感じてもらいたい」と述べ、本展に協力したリラの会・戸内廣会長は、「当時の冬の文化を知ることができ、それぞれが工夫して知恵を絞り、考えて生活していたことが分かる。橇やジョンバも手作り。ゆっくり見ると新しい発見もあり、何度でも足を運んでもらいたい」と話した。
 企画展「小樽冬色グラフィティ」11月18日(土)〜2018年4月8日(日)9:30〜17:00
 総合博物館本館(手宮1)2階企画展示室
 休館日:火曜日(祝日の場合は翌平日)・年末年始(12月29日〜1月3日)
 入館料:一般300円、市内高齢者・高校生150円、中学生以下無料
 企画展ギャラリートーク 12月16日(土)・3月21日(水・祝)14:00〜15:00
 同館本館(手宮1)2階企画展示室 講師:菅原慶郎学芸員 要入館料