木版画で平和への祈り!重岡静世展

 木版画家・重岡静世展が、12月18日(水)から25日(日)まで、小樽市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリーで開催されている。

 

 平和への祈りや子を思う母の願い、北海道で逞しく生きる人々をテーマにした同氏の1980年~2019年の木版画作品と、小樽美術史に残る優れた木版画家の金子誠治・河野薫・千葉七郎・大本靖の作品合わせて46点を展示している。

 

 銭函在住の同氏(75)は、岩見沢に生まれ、北海道学芸大学(旭川)美術科を卒業後、8年間道東の小中学校で教員を、その後、小樽市の障害者施設の指導員を31年間勤務し、2人の子どもを女手ひとつで育てた。

 

 15歳から描き続けた油彩から、障害者施設に勤務していた頃に木版画を始め、陽刻や陰刻を学び、大胆にデフォルメした不思議な色合いの大本氏に指導を受けた。

 

 彫りを深めるためには時間が足りないと、64歳で退職し木版画に打ち込んだ。2014(平成26)年70歳で全道展会、北海道版画協会会員、2016(平成28)年小樽市展委員。

 

 「ふぶきの家のノンコ」(加藤多一 作・岩崎書房)、「まがり道」(加藤多一作・日本児童文学者協会北海道支部)、「あの子たちがいた7月」(菊地慶一作・共同文化社)の表紙画と挿絵を担当。

 

 福島の原発事故で野良になった牛「野良牛」は、危険な放射能の恐ろしさを伝えようと描き、戦争や原発をモチーフにした作品も多く、「フクシマ 明日を」を発表した。

 

 沖縄での反基地運動の「地」、鉄条網とひまわりを描く「ひまわりと母子」など、ひまわりを取り入れた作品が多いのは、「ひまわりの力強さ、種を懸命に取る鳥、一生懸命に元気に生きてほしいとの願いが込められている」と語る。

 

 怒りや悲しみを込めたメッセージ性のある作品が多い中、2019(平成31)年「桜守り」は、函館の桜守の人を尋ねて制作。植物関連の仕事をしていた父親が携わった庭が、今もなお残っていたという。

 

 重岡氏は、「命を脅かす危険を黙って看過ごすことはできない。黙っていたら命を守れない、手遅れにならないように画集を作って、沢山の人に絵を観てもらいたい。会場ではほっとする作品もあわせて楽しんでもらいたい」と来場を呼びかけた。

 

 愛用の道具や版画の工程を紹介するコーナーもあり、会期中は、本人自ら在廊している。21日(土)14:00~15:00は、「私の作品と技法」と題して、重岡氏によるギャラリートークを予定。

 

 母の祈り 重岡静世展 小樽の木版画家とともに

 12月18日(水)~25日(水)10:00~16:00 入場無料

 市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリー 月曜日休館