小樽水天宮の丘に建つ和洋折衷の歴史的建造物・旧寿原邸(東雲町8)の一般公開が、6月6日(土)~10月10日(土)の土日祝日限定で、無料一般開放がスタートした。
新型コロナウイルス感染拡大防止により、当初予定していた4月26日(日)から、本日まで延期となっていた。
同邸は、大正元(1912)年に小豆将軍といわれた高橋直治氏が、水天宮の丘の北側の急な傾斜地に建てた土蔵造り瓦葺2階建ての邸宅で、石蔵を含めると9室あり、和室3室・洋室1室の和洋折衷の建物。日本庭園や土蔵に漆喰の石蔵など、日本の伝統に沿っている。
その後、実業家・寿原家の邸宅として使われ、昭和61(1986)年に小樽市に寄贈され、当時で1億4千万円と言われた。
1988(昭和63)年から夏期限定で一般開放が始まり、1991(平成3)年に市の歴史的建造物に指定された。2004(平成)年から土日祝日限定となり、2013(平成25)年、老朽化により貸与や開放を中止。2017(平成29)年に屋根の修繕等を行い、2019(令和元)年から、特定非営利活動法人小樽民家再生プロジェクト(中野むつみ代表)と協議しながら保全事業や活用事業を進めている。
今年度の開放に向け、冬囲いを撤去し、市民を交えて草取りや大掃除を実施するなど準備を重ねてきた。これまでの歴史や背景、同プロジェクトの思い、水天宮の丘について紹介する同邸ミュージアムを石蔵で開催し、7年ぶりに一般公開にこぎつけた。
同プロジェクトは、小樽市から委託を受け、市指定の歴史的建造物である同建物を再活用し、将来の展望を持ちリノベーション体験をしながら、再生と交流をテーマに、今年度は実験的に建物を活用した19の事業を展開する。参加希望者は申込が必要。
今後のビジョンとして、学んで交流する宿泊体験や運営、格式ある同建物内を、会議・祝賀会・催事場などの活用を掲げている。
石井伸和副代表は、「コロナ対策を講じつつ、見学に来てもらい、寿原邸の歴史や背景をパネルで見て知り、新たな発見を見つけてもらいたい。7年間の眠りから覚めて開放し、今年度は19のイベントを用意した。建物の中でイベントができる幸せを味わってもらいたい。秋には、庭の剪定体験も用意している」と、新しい歴史的建造物との楽しみ方を提案した。
イベントの第1回目は、6月14日(日)10:30と16:00の2回、札幌きもの学院・遠藤啓子学院長が講師となり「着物着つけと水天宮祭」を予定。費用1,800円・定員15名。7月11日(土)と8月1日(土)に、石井副代表も「小樽学会」写真と共に学ぶ小樽の歴史講座を開く予定。
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