絵画で知る第3倉庫の魅力 市立小樽美術館

 北海製罐第3号倉庫の保存と活用に向けて、10月末の解体猶予まで判断が迫られる中、同倉庫の絵画を展示した展示会が、7月7日(水)〜25日(日)に、市立小樽美術館(色内1)1階多目的ギャラリーで開かれている。

 

 市民が日常何気なく見ている運河の風景に溶け込んだ第3倉庫の魅力を、運河保存運動の父と呼ばれた商業デザイナーの藤森茂男氏の複製3点を含む8点(妻・藤間扇玉氏所蔵)と、同館所蔵の木嶋良治氏・鈴木傅氏・冨澤謙氏・大和屋巌氏の作品合わせて13点と、1973(昭和48)年〜2021(令和3)年に月刊おたるの表紙に書かれた8冊を展示している。

 

 藤森氏は、ボードに不透明水彩絵具を使い、150点もの風景画の中に、第3倉庫を主役とした四季折々の作品を残し、運河と北海製罐は切り離せない心の原風景となった。

 

 絵画展のチラシにもなった北海製罐倉庫の夏は、艀が並び倉庫が活用されていた時代の風景。ピンク色に染まる同倉庫の夕焼け、運河うら北海製罐倉庫と工場は、外国の街並みのように魅力的に仕上げていて、様々な作風で同倉庫と運河の風景を楽しむことができる。

 

 4名の画家による第3倉庫の作品も、それぞれに同倉庫の魅力を伝えている。

 

 扇玉氏は、藤森氏について「表面的にはおちゃめで、内面はずっしりと座っているような人」とし、「茶の艀と製罐工場」が、本人らしさが一番表れているという。

 

 同展を見て、「運河の景観ごと残してほしいと、常に言っていた。運河を守る会の活動は今も続いていると、改めて確認した」と話した。

 

 月刊おたる編集長で娘の五月さんは、「父の絵は毎日見ているが、ひとつひとつが父の手足で、沢山の人に昔の運河を見てもらいたくて描いたもの。20歳の頃、画廊の店番をしていると、父の絵を見るたびに、“俺の手で運河を描き残して見せる”との思いが聞こえ涙が出た」と話した。

 

 心の原風景 北海製罐第3倉庫展
 7月7日(水)〜11日(日)10:00〜17:00(最終日16:00)
 市立小樽美術館(色内1)1階多目的ギャラリー 観覧無料

 

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