小樽文学館へスケッチ等250点寄贈 石原慎太郎氏逝去

 小樽にゆかりの深い作家、石原慎太郎氏が、2月1日(火)89歳で逝去された。

 

 同氏は、1932(昭和7)年に兵庫県神戸市に生まれ、1934(昭和9)年に弟・裕次郎氏が誕生。父親の転勤で1936(昭和11)年に小樽へ。現小樽藤幼稚園、稲穂小学校へ通う。1943(昭和18)年に神奈川県逗子市に転居した。

 

 作家・俳優・脚本家・監督を経て、1987(昭和62)年に運輸大臣となり、1999(昭和11)年に都知事、2012(平成24)年に衆議院議員として国政復帰。2014(平成26)年に82歳で政界を引退していた。

 

 小樽市立文学館(色内1)では、2017(平成29)年に石原慎太郎と裕次郎展を開催したところ、たまたま通りかかった四男の延啓氏が感銘を受け、当時の亀井志乃学芸員(現館長)に説明を受けた。

 

 その話を父慎太郎氏に伝えところ、十代の混沌とした青春時代の様子を表現した、「十代のエスキース」と呼ばれる約250点ものスケッチと空想画が寄贈され、小樽市から篤志者表彰を受けた。

 

 2019(令和元)年5月25日(土)〜6月30日(日)に、同作品を紹介する企画展が開催され、25日(火)には講演会のために来樽し、同館1階の多目的ギャラリーで「文学とその時代」について語り、約150名が参加した。

 

 その時、同氏から亀井学芸員に、「絵の展示は描いた頃の自分に出会ったようで、これは人生の奇跡。晴れがましい展示会となり、第2のふるさとで取り上げてもらい心から感謝する」と話し、伊藤整との出会いについても語り、和やかな雰囲気で進行された。

 

 空港までの帰路、亀井氏も同行して小樽天狗山に立ち寄るなど、思い出の小樽を楽しんでいたという。

 

 亀井館長は、「文芸誌の寄稿なども最近はなく、御加減が悪いのかと心配していたところだったのでびっくりもしたが、悪かったのだと思った。寄贈の作品は、若かった頃、心の中の情熱を描いた石原さんのことが思い出される。3点常設していてやっぱりご縁があり良かったと思った。

 

 今月中旬過ぎには、大がかりではないがコーナーを設けて、石原さんを紹介したいと思う。まだ、直接ご存じの方もいらっしゃると思うので、いらしていただければと思う。

 

 講演会でお会いした時に、ぜひまた小樽に来たいとおっしゃっていたので、また小樽の町をゆっくりと歩いてもらいたかった」と、当時を振り返っていた。

 

 迫俊哉市長は、「小樽市を愛してくださった石原慎太郎様の訃報に接し、大変残念 でなりません。

 青年期に描かれた多数のスケッチ類を小樽市へ御寄贈いただき、 市立文学館で特別展を開催した際、お会いしてお話させていただい たことが今でも鮮明に思い出されます。

 心よりの御冥福をお祈り申し上げます」と、コメントを発表した。

 

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