森井秀明前小樽市長へ65,531,865円の返還求める

 小樽市(迫俊哉市長)は、6月3日(金)16:00から、小山秀昭副市長と佐藤靖久総務部長による緊急記者会を開き、高島漁港区における観光船訴訟問題で、原告に支払った損害賠償金65,531,865円と同額を、森井秀明前市長に返還を求める通知を行ったと発表。

 

 同市が原告に対して違法な許可等を行い、後に許可等を取り消したことに伴って提起されたものであるが、森井前市長の行為は、国家賠償法第1条第2項に規定する「故意又は重大な過失」があり、求償権を有すると判断した。

 

 森井前市長に対し、その旨を6月1日(水)に郵送で通知、2022(令和4)年6月30日(木)を納付期限とし、支払いに応じない場合、納付期限後20日以内に督促状を出し、訴訟も視野に入れている。

 

 小山副市長は、この判断に至った経緯を「当時の関係職員が、これは不許可になると説明したが、即座に否定的な見解を示した。そこに故意があったと判断した。多額の金額のため、市民に対する説明責任の意味でも、司法の判断を仰ぐ必要がある」と厳しい姿勢を示した。

 

 この問題は、高島観光事業者(前市長の後援会顧問)が、高島漁港区において観光船事業を行うにあたり、議会で再三にわたり違反ではないかと指摘したにも関わらず、市が区分条例の規定の解釈を誤り、2016(平成28)年6月1日に当該事業に必要な許可を行った。

 

 2017(平成29)年8月21日に、市のコンプライアンス委員会から、観光船のための係船環や建築物が分区条例に違反する旨の報告を受け、市が違法な許可だったと認め、2018(平成30)年4月27日に一連の許可等を取り消し、2019(平成31)年2月13日に当該観光事業者から、市に取消処分の取消しを求め損害賠償を請求された。

 

 2020(令和2)年1月16日付けで、裁判所がこの申し立てを許可し、訴訟が進められ、市に対し、2021(令和3)年10月8日に原告へ55,788,060円及び遅延損害金9,743,805円を合わせた65,531,865円支払う判決が言い渡され、同年11月5日に支払った。

 

 2022(令和4)年3月30日に、前市長に対する事情聴取を実施し、前市長の代理人弁護士が前市長に対する求償権行使はできない旨の意見書を提出している。

 

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