北海道の産科医療・救急定期研修をクラウドファンディングで

 

 北海道周生期医療救急支援の会(HOPPIE・黒田敬史代表/北海道社会事業協会小樽病院産婦人科医師)は、誰もが安心してお産ができるよう、妊娠・出産といった周産期救急領域の医療水準向上を目指す、道内での産科医療・救急研修を定期的に開催し、各地の受講ニーズに応え実施地域を広げるため、クラウドファンディングを設立。1月19日(木)10:00〜2月28日(火)で、一次目標金額を300万円としている。

 

 ◎北海道周生期医療救急支援の会-クラウドファンディング(READYFOR)

 

 特定非営利活動法人周産期医療支援機構(OPPIC)が活動権限を持つ2つの周産期医療・救急シュミレーションコースは、医師や助産師など産科医療従事者が、分娩施設における妊娠中や分娩時の急変に効果的に対応できる技能を習得するための教育コースALSO(Advanced Life Support in Obstetrics)と、救急隊員が自宅や救急車内などの病院前で遭遇する妊産婦への救急対応を学ぶ教育コースBLSO(Advanced Life Support in Obstetrics)。

 

 どちらも、eラーニングで講義動画を履修し、実技演習に臨み、分娩用ファントムを用いた症例シナリオ演習を通じて、繰り返し異常分娩や妊産婦救命対応を学ぶ。

 

 ALSOでは、吸引分娩や肩甲難産、経験することが少ない骨盤位の分娩も。BLSOでは、新生児蘇生法や救急車内での母体搬送中の車内分娩を想定した演習も実施する。

 

 参加する病院勤務医療者や救急隊員にとって、自分の勤務だけでは知ることのできない互いの現場の実情を共有する貴重な機会となっている。

 

 広大な北海道で分娩施設がある市町村は28ほどで、ALSOとBLSOの開催は必要だとして、北海道では、年1〜3回ALSOとBLSOコースを開催し、全国のコースで講師経験を積んだ道内メンバーがインストラクターとして活躍する割合も増えたが、開催費用の課題は深刻化し定期開催は難しく2018(平成30)年に一時途絶えてしまった。

 

 2019(平成31)年に開催本部OPPICが主催となって、北海道でのコース普及応援のため、小樽協会病院でALSOプロバイダーコースが開催されるなど、全国から北海道コース再開を願う声に背中を押され、同年に北海道ALSO/BLSO講師メンバーを基盤に任意団体HOPPIEを立ち上げた。

 

 その後さっぽろ連携中枢都市圏事業予算の受け皿団体となり、COVID-19感染拡大などで延期が重なったものの、2022(令和4)年に同予算を得て初めてのALSO/BLSOプロバイダーコースを札幌で開催。

 

 旭川医大では寄附講座を設立し、2019(平成31)年からALSO定期開催するなど、全道各地で地域や医療者のニーズに応えた活動を継続している。

 

 事業予算終了後にも定期的な道内コース開催を行うため、今回のクラウドファンディングに挑戦することを決め、安全なお産のために妊婦分娩に関わるスタッフが安定的に学ぶ機会を作り、周産期医療体制の強化を図るために、多くの協力を呼びかけている。

 

 協会病院産婦人科業務の傍ら、札幌医大非常勤講師として医学生や助産学生に産科救急対応の指導に通う黒田代表は、「小樽協会病院の分娩再開には、この産科シミュレーション教育に根差したチームづくりが不可欠だった。

 

 まだ見ぬ妊婦さんと赤ちゃんの安全・安心を守るために、これからも産科チーム医療のあり方をメンバーや参加者と学び続けたい。メンバーの想いが溢れたクラウドファンディングのページを、ぜひご覧いただければ」と話している。(写真提供:北海道周生期医療救急支援の会)

 

 ◎HOPPIE  北海道周生期医療救急支援の会(外部)