北海道財務局小樽出張所(港町5・清水雅之所長)は、しりべし経済レポートvol.117(令和7年7月~9月期)の発行に合わせ、12月5日(金)10:00から記者発表を行った。
同レポートの総括判断では、管内経済は持ち直していると判断。個人消費・観光・住宅建設・公共工事・生産・雇用の各項目についても前回判断を据え置いた。
清水所長により各項目について説明があり、個人消費について、主要小売店売上高は物価高による節約志向が継続するものの、猛暑に伴う需要が後押ししたため、+0.7%前年を上回った。
暑さによるクーラーや季節商品を新調。価格が高くでも買わざる負えないため、割引デーなどを利用して来店しやすいとの生の声も。
新車登録・届出台数は、車両価格の上昇により-1.9%前年を下回り、安全装置の義務化で、かつてオプション装備だったのものが標準装備となり、車両価格が高騰しているとの声があった。
観光は回復しつつあると判断。主要観光施設利用者数と主要宿泊施設宿泊者数は、円安の状況が続く中、海外客の増加が見られたが、大阪万博の影響で-3.8%と前年を下回った。
夏休みシーズン中は、道内客の客足が好調だった。外国人観光客は、円安やSNSによる口コミ効果により宿泊者数が伸び、大阪万博の影響で、道外客は北海道を旅行先に選択されなかったとのこと。
住宅建設は持ち直しのテンポが緩やかになっていると判断。新設住宅着工戸数は、給与住宅と分譲住宅は前年を上回ったものの、持家と貸家が前年を下回った。
持家は土地1,000万円台から建物5,000万円台の購入費が高い状況。資材価格の上昇が影響と建設会社の声も。
公共工事は、公共工事前払金保証請負金額で見ると、四半期合計は前年を下回っているものの、年度累計では+7.3%と前年を上回る。
生産は持ち直しつつある。水産加工稼働状況は、鮭等の不漁により原材料不足及び仕入れ価格上昇の影響から低調。
金属加工は好調。機械生産は前年まで受注量が多かったことによる反動減から低調。プラスチック製品は順調。ゴム製品は建築需要による受注があることから安定した操業。
雇用は緩やかに持ち直し、有効求人倍率は+0.03%と、有効求人数共に前年を上回った。地域求人数は+2.1%と前年を上回った。
物価高の影響でシニア層の求職活動が増加し、人手不足から外国人実習生をレストラン部門で雇用。民間求人媒体の利用も積極的に利用しているとの声も。
清水所長は、「雇用・所得が改善する中、各種政策の効果により持ち直しが期待される。物価上昇の継続や米国の通商政策・金融資本市場の変動等の影響に危惧する必要がある」と、先行きを述べた。
特別調査として、一般社団法人倶知安観光協会の観光施策について発表。今年10月に、北海道内初の「先駆的DMO」に選定された倶知安観光協会の観光施策について紹介した。
持続可能で国際競争力の高い魅力ある観光地域づくりのモデル形成のため、観光庁が、その施策や取り組みに戦略的に支援を行う法人としてDMOの中から選定する。2024(令和6)年度は4団体。2025(令和7)年度は7団体のうち倶知安観光協会も含まれる。
同観光協会では、冬季のみならず年間を通じてアウトドアスタイルの確立への取り組み、町内全域の経済活性化のためリゾート地域のみならず、市街地へ回遊性向上のための取り組みとして、無料シャトルバスの運行。夏季における運行において利用者動向を把握した。
観光に対する地域住民の理解と質の向上を図り、デジタル町民認証の利用と普及・町民限定の特別な食体験の取り組みなど、住んで喜び、観光でも喜びを感じてもらう観光地域づくりの取り組みを紹介した。
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