外沢照章能面展最終回 180点の虫干し展

小樽在住の能面作家・外沢照章さんの能面展が、9月26日(土)~30日(水)までの5日間、小樽市公会堂(花園5)和室で開催。同氏が42年間打ち貯めた180点の能面をずらりと広げる虫干しの方法で実施している。

 

 同氏は、1942年に東京都に生まれ、1984年に能仁会能面教室に入門し、能面の世界へ。2003年に小樽に移住して、能面展の開催を続け、個展の開催は今回で18回目となった。

 高齢となり個展や自主開催の能面展は残念ながら最終回と告げ、今後は、自宅での製作は続け、小学生の体験教室や小規模な展示に対応したいという。

 能面130点とモデル面(木地仕上品)50点がずらりと和室に広げられ、これまでの壁に展示した能面とは違った雰囲気に包まれている。

 代表的な能面の種類は92面あり、それを制覇する事を目標にコツコツと製作を続け、昨年まで74面が完成し、今回の新作(牙癋見・黒癋見)を合わせると76面を完成させた。

 牙癋見は、かみあわせた唇左右の上顎から二本の金具の牙が、下にむき出しになっているところから命名。目の金具の上半が眉に隠れていて、大癋見よりも強調されている。

 黒癋見は、色彩が黒いところから命名され、観世流と金春流の独特の面。全面白胡粉の下地にうすく黒色をかけ、眉や口、顎の髭は濃く、黒々と描かれている。(会場の説明文より)

 外沢さんは会期中、9:00~12:00と14:00~17:00まで在廊し、訪れた人々に能面を手にとって説明している。

 角のある面は男性と思われがちだが、実は、角を持っているものは女性の面で、角が短い「生成」から、舌がある「本成」、口の咲け具合が大きい「真蛇」まで、女性の怒り、悲しみなど豊かな表情の面を展示し、外沢さんの解説で、能面の世界へいざなった。

 能面で代表的な面のひとつの 「般若」は、女性の嫉妬を表現した面で、道成寺では「赤般若」を使用、身分によって化け方が違い、高貴な人のレベルで「白般若」、能の演目「安達ケ原」に使用された「黒般若」は、そのストーリーを語りながら、返り血を浴びた痕跡も面に残しているという。

 面を比べてみると、角の角度や大きさ、口の開け方などから怒りの加減に違いが分かり、外沢さんの解説でより深く理解でき、来場者はうなずきながら聴き入っていた。

 また、能面の作業で一番難しいのは毛書きで、なるべく本面に似せるように筆を使い書く。失敗すると白い肌の状態まで戻し、湯につけると剥がれるが、失敗にないように鍛錬して望む。中でも最大級に難しいのは小面の毛で、3本のほつれ毛が難しく、1本、1本、太さを変えながら書き入れリアリティーを出しているそうだ。

 能の演者についても、面の鼻の穴から真下を見るようにしていて、ガーゼを当て、面を浮かせるように付ける。視界が狭いため、舞台で踊るためには、面をズレないように紐で縛る。面の裏面はドーム型に削れていていることで、音が反響するようにマイク効果が得られるよう作られている事も明かした。

 能面の機能のひとつとして、前かがみは無表情、悲しむ時はかがむ、上に持ち上げると微笑む表情ができるのは能面だけで、うわまぶたとしたまぶたの関係性にあり、上まぶたがてでいて、下まぶたにかぶさっているため、目が細くなる効果を使っているとのこと。

 外沢さんは、「能面には、いろいろな機能を持っている特徴がある。230曲ある中で、お姫様の話が一番人気」と、来場者に丁寧に説明していた。

 来場者は、外沢さんの解説に時間を忘れて聴き入り、能面の知られざる世界に興味津々の様子だった。

 令和8年 外沢照章 能面虫干し展 

 会場:小樽市公会堂 和室(梅・竹・松) 9月26日(土)~30日(水)まで

 作家の会場待機時間 9:00~12:00 14:00~17:00 入場無料

◎外沢照章・能面ギャラリー日記

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