昨年40周年を迎えた(社)北海道建築士会小樽支部(野々瀬雅昭支部長)は、記念事業として実施した小樽工業高校生による「『小樽に建てたい建物』設計コンペ」の入賞者を、23日(月)に発表した。
同支部の40周年記念事業は、この設計コンペと昨年10月に実施した講演会「北欧はフィンランド、ムーミンの国から学ぼう」の2本立て。
設計コンペは、「若い生徒たちの図面を見てみたい」(同支部)との思いから、昨年10月16日から今年1月20日まで、小樽工業設計・3年生27名を対象に、「小樽に建てたい建物」をテーマに図面を募集。課題条件は、建設地域は小樽市内、敷地面積は自由、延べ面積は1,000平米以上、建物構造は鉄筋コンクリートとした。
募集した結果、全27生徒から応募があり、同部をはじめ建設関係者など5名が選考を行った。このほど、最優秀賞・優秀賞・佳作・努力賞の4部門で8作品が選ばれた。
最優秀賞に選ばれたのは、小林直智くん(3年)が設計した「小樽歴史館」。
「運河周辺地域の景観に配慮し、石造倉庫をイメージして設計しました。場所は、中央通を渡り、運河に面した土地に設定しました。石造倉庫を忠実に再現するため、外観には本物の石を貼り、運河側の窓と出入り口は、昔、貨物を搬入する時に使っていた扉と同じにしました。この歴史館は、現博物館にはない昔の運河の大型ジオラマなどを展示し、この歴史館にはない物を博物館に展示することによって、臨港線を挟んで人の流れをつくる事が出来ます。
現在、小樽に来る観光客が減ってきているので、この歴史館が観光客増加のきっかけになってほしいと思います。そして、この歴史館をきっかけに多くの人々がここで昔の運河の事を知り、また、外に出て現在の運河や北運河を見学し、小樽を知るきっかけになってもらいたいと思います」(小林くん)としている。
野々瀬支部長は、「小林くんは、昨年の高校生建築デザインコンクールでも最優秀賞を受賞しており、実際に建てても不思議じゃない設計になっている」と高く評価する。このほか、教会や新・小樽駅、特別養護老人ホーム、スケート場など、高校生らしい自由でユニークなアイディアで設計された作品が選ばれている。
「若い人たちに励みになってもらいたくて初めて実施したが、レベルの高い作品が多く、実際の場所を想定して設計し、考え方もユニークで面白い。来年もやろうという声が多いので、今後の開催を検討中だ」としている。
表彰式は、2月27日(金)17:30からニュー三幸(稲穂1)で行われる。会場には、入賞者の作品8点のパネルが展示される。