小樽の花園繁華街のど真ん中にある銭湯「だるま湯」(花園1・高村悦子代表)が、78年に及ぶ暖簾の幕を下ろし、10月31日(土)で廃業する。
1931(昭和6)年創業の「だるま湯」。見事な装飾の洋風建物で、ラーメン屋と書店に挟まれて営業している。暖簾をくぐると、高い番台から高村代表が「いらっしゃいませ」と顔を覗かせる。料金を支払って脱衣所へ入ると、歴史を感じさせる木製のロッカーや円形の湯船が目に留まる。
7年前に夫が他界して経営を引き継いだ高村さん。「50年前、嫁に来たころは賑わっていた」と当時を思い起こす。花園や山田町、東雲町の常連客で賑わっていたが、時代の移り変わりとともに入浴客は減っていった。
「周辺町内でも風呂を持っていない人がいなくなった。車を利用する人が多くなったので、駐車場がないことがガンになった。男女ともお客さんがいない時間もあって、ただ電気を使って待ってるだけの時もあった。娘にもお母さんボランティアをやってるのと言われたこともあった」と嘆く。
「7年前に主人が亡くなり、なんの引き継ぎもなく、急に一人で経営することになり、本当に大変だった。ラーメン屋と本屋さん、スナック店が、建物に入居してくれていたおかげで、なんとか営業出来ていた。でも、燃料費も高騰し、老朽化にも対応出来ないし、私ももう76歳だから」と、10月31日(土)をもって廃業することにした。
「建物を壊す資金もないので、誰か建物を買ってくれる人がいれば、銭湯跡の有効利用をしてもらいたい」としている。フロア面積は約88坪。問合せ:0134-22-2754
小樽公衆浴場商業協同組合によると、昭和30~40年代には、市内に70軒ほどの銭湯があり、小樽は全国でも銭湯の数が多いことで知られていたという。しかし、今では、当時の3分の1以下の21軒となっている。10月31日(土)のだるま湯の廃業で、残るは20軒と、またひとつ少なくなった。