市立病院に新たな税金投入 一般財源から繰出


 小樽市(山田勝麿市長)は、市立病院の医業収益の落ち込みによって、不良債務解消が困難な状況となっていることから、一般財源から新たに繰出金を投入することを示した。
 新谷前市政から引き継いだ病院事業会計の44億円の不良債務は、2008(平成20)年度で残り37億7,000万円だった。小樽市病院局(前病院事務局)では、2009(平成21)年度から2013(平成25)年度までの5ヵ年で、一般会計からの繰出金26億800万円を合わせて、ゼロにする計画だった。
 しかし、市立病院の医業収益は悪化し続け、不良債務を、2009(平成21)年度に26億円4,600万円に減らす計画だったが、減らすどころか逆に6億円増えて、32億1,160万円になる見通しとなった。また、計画で見込んでいた呼吸器内科の医師の補充も出来ず、2010(平成22)年度では、14億 4,200万円に減らす予定が、8億円悪化して、22億7,847億円に膨らむことになった。
 このため、市病院局では、課題に見積もった「小樽市立病院改革プラン」を下方修正する方針を3月議会で明らかにし、市財政部は、追加の税金負担の可能性を示唆していた。
 4月28日(水)の記者会見で、山田勝麿市長は、「21年度決算では、改革プラン通り進んでいない。一般会計は、非常に良くなっている状況があり、病院の不良債務をどこまで支援出来るか、最後のツメを行っている。メドがつけば、新たに一般会計から繰出すことにし、6月議会には計上したい」と、追加で税金投入することを明言した。
 市の一般会計の累積赤字は、2008(平成20)年度決算で6億3,800万円。2009(平成21)年度最終予算では、4億9,700万円に減少する見通しとなっている。財政健全化計画では、一般会計の累積赤字を2012(平成24)年度で解消する計画だったが、2011(平成23)年度でゼロにする前倒し変更を行った。関連記事
 しかし、これは、企業会計からの借入れ、特定目的資金基金の取崩し、職員手当等の削減などによる、見せかけだけの財政健全化だ。実際には借金まみれの厳しい財政状況には変わりはない。親(一般会計)は、出来の悪い子供(病院会計)のために、さらに繰出金を出さざるを得ない状況となった。現在、追加の繰出額を調整中。
 一般会計からの繰出金は、この不良債務解消分のほか、基本的な繰出金と財政支援に係る繰出金もある。これらを合わせると、2009(平成21)年度20億7,200万円、2010(平成22)年度19億8,000万円、2011(平成23)年度13億1,300万円、 2012(平成24)年度12億5,100万円、2013(平成25)年度12億5,100万円の計138億6,700万円の巨額の税金が、病院に投入される計画となっている。
 すでに計138億6,700万円もの巨額の税金を投入する計画なのに、さらに税金を追加するとなると、到底、市民からの理解が得られる問題ではなく、せっかく財政健全化のために給与削減に協力した市職員も、病院の不良債務解消に使われるとなると、、怒りのやり場のないことになる。
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