街の銭湯また一つ消える 「満寿美湯」が来年3月廃業


masumiyu.jpg 昭和30~40年代に70軒もあった街の銭湯が、今では20軒と3割以下に減った。このうち2軒が休業中で実質営業しているのは18軒となっているが、来年3月末でまた一つ街の銭湯が廃業することが、6日(月)に分かった。
 来年3月末で廃業するのは、オタモイ地区唯一の銭湯「満寿美湯(ますみゆ)」(オタモイ1)。オタモイの市営住宅の建設と同時期の1965(昭和40)年に開設した。当初は民間経営で、夫婦2人で経営を続け、市営住宅のほとんどが風呂なしだったことから住民から重宝されてきた。
 しかし、1995(平成7)年になり、当時の経営者は、高齢化と設備の老朽化を理由に廃業を市に申し出た。市は、オタモイ地区の市営住宅(572戸)のほとんどに風呂がなかったため、1996(平成8)年から、公衆浴場商業協同組合に運営委託し経営を支援することにした。同年、2,300万円かけて建物と設備の改修工事を行った。
 この後、2000(平成12)年に収支不足が発生し、市が組合に43万円の補助金を交付し、以降、補助金交付が毎年繰り返された。2005(平成17)年から風呂付の市営住宅の建替えが始まり利用者が激減。組合が経営を引き継いだ1996(平成8)年の1日当たりの利用者は100人程度だったが、2009(平成21)年度には30人程度に減少。これに伴い、2009(平成21)年には市の補助金が382万円に増加した。さらに2001(平成13)年から土地代約63万円も市が補填するようになっていた。営業日も現在は週4日となっている。
 この苦しい経営状況の中、今夏、市営住宅3号棟が完成したことから、風呂なし住宅は70戸まで減少。市は、「部分的な改修は行ってきたが、配管は50年前のままで、いつ壊れてもおかしくない。2012(平成24)年には新たに4号棟が完成するので、風呂なし住宅が25に減る」と、満寿美湯を来年3月末で廃業することを決めた。風呂なし住宅の住民には暫定支援として、週3日、マイクロバスなどで近くの銭湯への送迎を行うことにした。
 当初、オタモイから一番近い長橋にある都湯(長橋2)を代替え銭湯として交渉していたが、同銭湯は、11月末に「最初はお客さんがバスで来てもらえるならありがたいと思って受入れることにしていたが、水道の管が古く老朽化しているので、お客さんを受け入れても申し訳ないと思った」と断った。このため、担当の市建設部建築住宅課では、現在、オタモイ地区に近い手宮地区の銭湯を候補地として交渉を行っている。
 「満寿美湯」の廃業方針を受け、オタモイの地域住民らは、7日(火)にも経営存続を求める陳情を提出する予定だ。
 これに対し、市は、「2年間だけでも経営を存続して欲しいと言われているが、いつ配管が壊れるかも分からないし、改修したとしても今後市営住宅が完成し風呂なし住宅がほぼなくなるので、補助金で経営を支援するよりも、バスでの送迎をした方が良い」(同課)としている。
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