市長給料10%カットに2会派が「反対」 市議会に新しい動き

 小樽市議会第2回臨時会が、5月30日(月)13:00から、本会議場で開かれた。
 会期1日だけの本臨時会には、市長の後援会が起こした市役所内でのパーティー券販売事件の責任をとり、市長給料の10%を3ヶ月間カットための、「小樽市特別職に関する職員の給与の特例に関する条例案」と人事案件の「監査委員の選任」「教育委員会委員の任命」「固定資産評価審査委員会委員の選任」「職員懲戒審査委員会委員の任命」の5議案が上程された。
200.JPG 中松義治市長は「政治資金規正法違反で、総務部長を含め、当時の11名の部長職が起訴され、罰金刑などの略式命令を受けたことで、市民の皆様の信頼を大きく損なうこととなりました。また、私の後援会と後援会の事務局長も刑事処分を受けておりますので、私としても、大変重く受け止めているところであります。
 さらに、山田厚副市長の任期が5月31日に任期満了となりますが、今回の臨時会に副市長の選任議案を提出することができず、後任につきまして、当面、空席となる事態となったことについて、大変申し訳なく思っております.
 これらに対する私の責任をなるべく速やかに、明らかにすべきと考えましたので、私の給料月額を平成23年6月から同年8月までの3ヶ月間10%減額するため提案するものであります」との提案説明を行った。
172.JPG これを受け、北野義紀議員(共)が質疑を行った。北野議員は「スピード感を持ってやったとのことですが、早ければそれで良いということではない。一番問題なのは、この減給処分が軽くて市民の納得が得られないということ。全容解明を行ったあと、関係職員を処分し、それとの関係で自らを律することにすれば、市民にも、幹部職員への処分の内容と比較して適切かどうか出来るでしょう。なぜこんなに早く市長自身の給料の減給を行ったのか説明を。またなぜ、軽過ぎて市民の納得が得られる内容ではないのか。その根拠を」と迫った。
 これに対し、市長は「確かに全容の解明を行った段階で、関係職員の処分と合わせて自らを律することもあるが、それにはまだ時間を要するので、まずは現段階で速やかに自らの責任を明らかにすべきと考え提案しました。条例内容の根拠ですが、これまで小樽市長が減額した例を踏まえて判断を致しました。内容は 10%減額1ヶ月という例が多くありましたが、その中で最も重たい例を踏まえたものです」と答えた。
 再質問の「6月3日以降に委員会を設置すると聞いたが、刑事裁判所に属している間は、委員会を立ち上げられないが、略式命令を受けてこれが離れてしまっている。もう作業に入って構わない期間。それなのにゆっくり構えているのか疑問」に対して、山田副市長は、「すでに内部で色々作業を進めているので、懲戒審査委員会という中では3日以降具体的な作業をしていかなければならない。懲戒審査委員会のメンバーは、副市長以下職員4名だが、副市長が委員長だということは決まっていない。今現在副市長が不在という中でどういう対応するか聞いていかなければならない。関与していない部長職、次長職、課長職もいるので、メンバーについては何とか対応出来る」と答弁した。
 この後、小貫元議員(共産)と安斎哲也議員(一新小樽)が、討論を行った。
247.JPG 小貫議員は「2度と同じような事件が起きないように再発防止をしていくためにも、この事件の全容究明が急がれています。本来、公務員の人たちがどの政党でも支持する、これは自由であります。しかし、今回の事件は、幹部職員が、全体の奉仕者である公務員なのに、市長の奉仕者であった、ということが明らかになりました。
 小樽市職員倫理規定の第2条、全ての公務員は、全体の奉仕者であって一部ではないということを深く自覚し、職務の遂行に当たるとともに、市民の福祉の増進を目指して職務に専念せねばならない。庶務やその地位を私的な理由のために用いてはならないと記されています。
 私はこの大本がしっかり座っていれば、副市長の言うように政治資金を忘れていても、庁内で特定の候補者を推すことはないと思います。倫理規定の総括責任者が副市長ということで、今回の事件の副市長の責任は重いものと思います。懲戒審査委員会のメンバーに、関与してない職員を選ぶと言っているが、議会が求めてきた氏名入りの機構図がいまだに提出されていません。選ばれたメンバーが本当に関与しているのかどうか、このままでは私達議員が解ることが出来ませんので再度提出を要求します」
253.JPG 26才の新人安斎議員は、4人で構成する無所属会派の「一新小樽」を代表し、「市長が、スピード感を持ち、率先して自らの処分に踏み切ったことに対し、一定程度の評価は出来ます。また、市長給与がすでに30%削減されており、今回の処分で全体から37%近くの減給になるということは承知しております。本来であれば、山田勝麿前市長時代でパーティ券が売買されていたのですから、本来であれば、前市長に一番責任を負っていただかなければならないところです。
 しかしながら、市民の方々からは、市長の削減額や部長職の留任には厳しい声が上がっております。関係職員への処分が確定していないことももあり、この第1 号に関しましては、今現在の段階においてすぐ賛成ということではなく、その処分とのバランスをあわせて見ながら判断することとし、採決に当たりましては、一新小樽は会派として自席にて棄権の態度をとることを申し上げて、討論と致します」と述べた。
 この討論を受けた議案の採決では、これまでの市議会では見られなかった新しい動きが見られた。従来の採決では、与党(自公民)の賛成と野党(共)の反対の図式通りで行われていた。しかし、議案に対し是々非々の立場を表明している無所属会派の「一新小樽」の登場で、この図式が大きく変化することになった。結局、これまでは見られなかった共産と一新小樽の2会派が、市長給与の10%削減では、市民の理解が得られないと”反対”に回った。これは、今後の市議会運営にも、新しい動きが出ることを予感させることとなった。
 人事案件の採決結果
 「小樽市監査委員の選任について」 成田晃司 投票総数26(有効23・無効3) 賛成17・反対6
 「小樽市教育委員会委員の任命」 上林 猛 (同意に賛成 自、公、民・市、一新、無)
 「小樽市固定資産評価審査委員会委員の選任について」 中嶋秀夫 (同意に各会派・無 賛成)
 「小樽市職員懲戒審査委員会委員の任命」 佐々木茂((同意に各会派・無 賛成)
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