小樽で制作した力作集 "外沢照章能面展"


noumenten1.jpg 小樽で制作した面を集めた「外沢照章能面展」が、8月5日(火)から10日(日)まで、小樽市公会堂(花園5)の地下展示室で行われている。
 能楽堂を囲むように、新作5点・生徒作品4点を含む33点の能面がぐるりと展示され、迫力ある能面の世界へ、来場者は引き込まれていた。
 能面作家の外沢さんは、1942(昭和17)年東京に生まれ、建具職人の父親のそばで、子どもの頃から木を削って遊んでいた。父親が亡くなった時に、建具屋で使用していた突ノミなどを譲り受けた。能面が掲載された1978(昭和53)年の「別冊太陽」と出会い、42歳の時、近くの能面教室を訪問したことが始まりとなった。
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 2003(平成15)年に小樽へ移住し、2006(平成18)年に初個展を開催。2009(平成21)年からは、公会堂で毎年開催し、夏のこの時期の恒例行事となって10回目を迎えた。
 また、能面を打ってから30年の節目も迎え、小樽で打った43面の中からより選りの面を展示する特別展として開催している。
 小樽で打ったものにこだわったのは、現在、札幌在住の生徒ばかりなので、本格的な能舞台がある小樽で後継者を育て上げ、能面づくりをしていることを、小樽を含め多くの人に知ってもらいたいとの思いが込められている。
 能面は、約250種類あると言われ、江戸時代以前に作られた面を本面と呼び、その後は、その基本形を模作し、どれだけ本面に近づけるか、使いこまれた色彩が剥がれ木肌がすり減った状態や面の傷などを再現している。noumenten3.jpg
 能面には、翁系・鬼神系・尉系・男系・女系・怨霊系・狂言面のカテゴリーに分かれ、2003(平成15)年以降43面を制作してきた。1年に多い時で7作品を仕上げた年もあった。今年で61種類81点を制作した。基本形92種類を目標に、まだ6、7年はかかる計算となるが、今後、各カテゴリーをまんべんなく打つことを理想としている。
 会場には、10:00〜12:00と14:00〜17:00に、外沢さんが待機し、希望者は詳しい説明を聞くことができる。
 順路の最初は、新作の白式尉(はくしきじょう)を展示し、平和を祈る儀式曲翁の専用面と説明が書かれている。能面横には、どれも説明文が掲載され、能に詳しくない人でも十分楽しめる。
noumenten4.jpg 硝子ケースの中には、工程が分かるように木の段階から展示していたり、常設展示コーナーでは、使用する道具や、木取り・粗削り・木地仕上げ・裏面処理・胡粉ぬり・筆書き・彩色・胡粉ぬり・筆書き・彩色の順番での工程をパネルで紹介している。
 観世流では、小面の代わりに用いられるという若女(わかおんな)も新作で登場。能面打ちは、女面に始まり、女面に終わると言われるほどで、目の位置を真ん中に額を広く、二十顎にすると若い女性の面となり、目の位置を高く、顎をシャープにすると大人顔となるなど、各部分に細かい工夫が施されている。
 今回の見所は、新作の「黒般若」で、白・赤・黒般若があり、能面における女性の嫉妬の深さを表現している。
 第10回外沢照章・能面展 8月5日(火)〜10日(日)9:00〜17:00
 小樽市公会堂()地下展示場 入場無料
 作家会場待機時間10:00〜12:00、14:00〜17:00
 外沢照章・能面ギャラリー日記
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